https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/408230/

「特別警戒区域なんて、知らない。聞いたこともなかった」。
山崩れがあった大分県中津市耶馬渓町金吉に暮らす農業女性(83)は驚く。
11日の山崩れを受けて県職員が点検に訪れ、自宅が土砂災害特別警戒区域に指定されていることを知った。
近くの主婦(57)も「警戒区域だとは分かっていたが、『特別』がつくとは知らなかった」と話す。

県は土砂災害警戒区域と同特別警戒区域を地図上に示しホームページで公開。市町村がハザードマップを作成し、
危険性を周知する計画だが、対策は道半ばだ。中津市の場合、1012カ所の指定区域のうち作成済みは10・6%にとどまる。
耶馬渓町と隣接する同県宇佐市院内町の特別警戒区域に暮らす主婦の小野敦子さん(65)も隣家の農業男性(58)も
「指定を知らなかった」と口をそろえた。

指定を受けても、危険と隣り合わせの暮らしは変わらない。金吉地区の自治委員山田英美さん(64)の自宅の
裏山からは、大雨のたび大量の水が流れ出る。昨年の九州豪雨では床下浸水。
「目の前の山が地滑りをしたこともあったが、他に行く場所はない」と話す。

県は12日、現場周辺で急傾斜地などの緊急点検を開始、斜面の亀裂などを確認した。
県幹部は「緊急対策が必要な危険箇所があるという報告は受けていない」とした。


大分県が公開している土砂災害危険箇所情報を基に作成。黄色が土砂災害警戒区域、オレンジが同特別警戒区域
https://www.nishinippon.co.jp/import/national/20180413/201804130004_000_m.jpg