静岡大は12日、宇宙と地球の間で人や物資を運ぶ「宇宙エレベーター」の実験で、輸送用の昇降機が伝うケーブルが宇宙空間で20〜30メートル伸びたとみられると発表した。

ごろも)を宇宙に放出。衛星は約10センチ角の箱を二つ合わせた形で、片方の箱の内部に合成繊維製のケーブル(直径0・4ミリ)を巻いた状態で収納している。宇宙空間で二つの箱を分離し、片方の箱に向かってケーブルを伸ばしながら、宇宙エレベーターの実用化に必要な基礎データを集める計画だった。

 実験では、宇宙でケーブルが伸びる様子を撮影し、衛星の位置情報を全地球測位システム(GPS)で取得する予定だったが、通信状況が万全でなく、どちらも失敗だった。

 ただ、米戦略軍が一般公開している通信データから、ケーブルが20〜30メートル伸びたと推測できたという。衛星は、3月2日夜から3日未明にかけて大気圏に再突入し、燃え尽きた。

 山極教授は12日、浜松市中区城北の浜松キャンパスで行った報告会で、「静大初の衛星を完成させ、最後まで運用を行った。最低限のことはできた」と話した。

 静大では今年度中に、能見教授らのグループが、別の二つの超小型衛星の間にケーブルを伸ばし、それに沿って昇降機を移動させる実験を行う予定だ。

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