国立社会保障・人口問題研究所が先月公表した「日本の地域別将来推計人口」によると、2045年の埼玉県内の人口は652万4800人となり、15年と比べ30年間で約74万人(10.2%)減少すると推計された。また、75歳以上の人は15年と比べ1.7倍に増えると推計され、県は人口減と高齢化の対策を急いでいる。【内田幸一】

 市町村別に見ると、戸田市や吉川市など県南部を中心に10市町で増加するが、それ以外の53市町村は減少する。人口減少の割合が最も大きいのは東秩父村で、15年の2915人から56.1%減の1279人まで落ち込む。75歳以上の人口をみると、県全体では15年の77万2930人から45年には131万4206人となり、1.7倍に増加する。

 県も既に対策を講じている。人口減少対策では、県や市町村の担当者、有識者が中長期的な政策課題を議論する「地域の未来を考える政策プロジェクト会議」を県内10地域に設置した。会議での議論を基に、東秩父村などがある比企地域では昨年度から、起業を目指す人を対象にした研修「比企起業塾」を開催。市町村が設置した「空き家バンク」でオフィスや店舗を紹介する取り組みを始め、5人が起業した。

 また、小川町が移住促進のために設置した「移住サポートセンター」事業に県が補助金を出したり、都市部と農山村部の交流人口を増やすために都市部からの学校の遠足や林間学校の誘致などを支援したりしている。

 高齢化に対しては、「団塊の世代」が75歳以上になり急速な高齢化が進む「2025年問題」を見据えた取り組みを進める。市町村が地域ごとに住まいや医療・介護などを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を支援。医療・介護予防の「健康長寿埼玉プロジェクト」では、専用の歩数計で計測した歩数に応じてポイントがたまり、県内の農産物などが抽選で当たる「コバトン健康マイレージ」を昨年度から34団体(市町村や企業、健保組合)で始めた。今年度は50団体まで拡大する予定。他にも少子化対策として不妊検査や不妊症治療費の助成などに力を入れる。

 上田清司知事は3日の定例記者会見で「2025年問題に対応していれば、2050年でも対応はできる」と述べ、対策に力を入れる考えを示した。

2018年4月20日 11時51分(最終更新 4月20日 11時53分)
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180420/k00/00e/040/238000c