https://mainichi.jp/articles/20180512/k00/00m/010/055000c

東京都の小池百合子知事は11日、性的少数者(LGBTなど)への理解やヘイトスピーチ規制などを盛り込んだ条例の制定を目指すことを明らかにした。2020年東京五輪・パラリンピックを控え、いかなる差別も禁じた「五輪憲章」の理念を実現する条例として、19年4月の全面施行を目指す。都によると、LGBTに焦点を当てた都道府県条例は全国初になる見通し。

小池知事は、定例記者会見で「東京大会成功のためにも、ダイバーシティー(多様性)を実現することが必要」と述べた。条例にはLGBTの人たちからの相談などに対応する総合窓口の設置や、差別解消に向けて都内の区市町村と協力するための規定を盛り込む。

ヘイトスピーチ対策では、都有施設の利用を制限する基準などを策定する。ただ、ヘイトスピーチに対する罰則規定を設けることについて、小池知事は「多くの表現活動がある中で何がヘイトスピーチなのかを認定するのは簡単ではない」と述べ、否定的な見解を示した。

五輪憲章は人種や性的指向、宗教、出身国などを理由に差別を受けないとうたう。14年ソチ冬季五輪・パラリンピックが開催されたロシアでは13年に「同性愛宣伝禁止法」が制定され、開催地が五輪憲章を満たしていないと批判された。【芳賀竜也】