LGBTトイレに「差別助長」=当事者から批判、取りやめ−悩む行政当局・大阪市
2018年05月19日04時00分

性的少数者(LGBT)に配慮した自治体や企業の取り組みが、逆に「差別を助長する」と当事者から反発を受けるケースが出ている。
大阪市は男女どちらでも使える「多目的トイレ」にLGBTを象徴する虹色のステッカーを貼ったが、当事者から批判を受けて取りやめた。
使いやすいようにとの意図が裏目に出た形で、担当者は頭を悩ませている。

淀川区の職員がLGBTを支援するNPO団体の講習を受け、発案した。2014年から始まり、周辺の区役所にも広まった。
しかし、当事者から「入るとLGBTと見られる」などの声が届くようになった。

批判の高まりを受け、大阪市は3月にステッカー表示を取りやめることを決めた。
吉村洋文大阪市長は4月の記者会見で「当事者の声を聞くことがまず大事だ。何もしないというのが一番良くない」と述べ、今後もLGBT政策に取り組むと強調する。

京都市内の大手ホテルも、多目的トイレに男女の姿を半分ずつ合わせたマークを使用している。
このマークに対する不快感を示す声が当事者から寄せられた。
担当者は「アメリカの小学校でも普及している。千人いたら千人満足するものはない」と割り切り、当面は表示を残す予定だ。

京都市で2月、当事者が集まり「LGBTトイレについて考える京都会議」が開かれた。
参加者からは「善意の押しつけは迷惑」「社会一般が『LGBTはここに入るんだ』という認識になるのが恐怖」などの声が上がった。
主催者は「個別の困難に対して手を差し伸べるのが支援だ。シールを貼ることが支援ではない」と批判する。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018051900135&;g=soc

https://www.jiji.com/news/kiji_photos/0180519at02_p.jpg
京都市内のホテルの多目的トイレで使われている男女の姿を半分ずつ合わせたマーク(右端)=2月28日、京都市下京区