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5月24日 5時56分
病気の治療に使われている既存の薬の中から1日のリズムをつかさどる「体内時計」を調節する効果があるものを、名古屋大学などの研究グループが探し出し、将来、既存の薬でいわゆる「時差ぼけ」を軽減できるようになると期待されています。

「体内時計」は、睡眠のリズムやホルモンの分泌などに重要な役割を果たしています。

「時差ぼけ」の狂いを治す薬の開発が期待されていますが、膨大な時間とコストがかかるため、名古屋大学の吉村崇教授らの研究グループは既存の薬から別の症状に有効な薬を見つける「ドラッグリポジショニング」と呼ばれる手法で、およそ1000種類の医療用薬品を調べました。

その結果、抗がん剤や抗菌剤など59の薬が「体内時計」の周期を長くしたり短くする効果があり、人工的に「時差ぼけ」状態にしたマウスの餌に混ぜて与えたところ、与えなかったマウスの半分以下の日数で症状が治ったということです。

「時差ぼけ」は、海外旅行だけでなく、交代制勤務などでも生じ、慢性的に「体内時計」が狂うと、生活習慣病や心臓疾患などのリスクが高まるとされているということで、吉村教授は「将来、既存の薬で『時差ぼけ』を軽くできるようにしたい」と話していました。