http://www.bbc.com/japanese/44298233

米ABCテレビは29日、主演女優による人種差別ツイートを理由に、高視聴率の人気コメディー番組を打ち切ると発表した。主演女優でコメディアンのロザンヌ・バー氏(65)はツイートで、バラク・オバマ前大統領の側近を「猿」になぞらえた。

ABCテレビは、「ロザンヌのツイートはおぞましく不快で、我々の価値観に一致しない。そのため、番組の打ち切りを決定した」と発表した。

バー氏はツイッターで28日、オバマ氏の側近バレリー・ジャレット氏が、ムスリム同胞団と映画「猿の惑星」の落とし子だと書いた。激しい非難を浴びてツイートを削除し、「下手な冗談だった」と謝罪したが、事態は収まらなかった。

シットコム(シチュエーション・コメディー=コメディードラマ)「Roseanne」は1988年〜1997年に、労働階級の白人を描いて米国で大ヒットした同名シリーズを再開したもの。3月の初回放送は2500万人が視聴した。第1シーズン全10話の放送中で、すでに第2シーズンの製作も決まっていた。

新シリーズは、バー氏がハリウッド作品にほとんど登場しないトランプ大統領支持者を演じていることもあり、米国の保守派から高く評価されていた。バー氏は役柄を離れた本人もトランプ氏の支持者で、トランプ氏もバー氏に自ら電話をして新シリーズの成功を称賛していた。

相次ぐ攻撃ツイート

バー氏の当初の差別ツイートは、別のツイッター利用者が、オバマ政権中に進行していたとトランプ氏や保守派が主張する監視活動について、ジャレット氏がその隠蔽を手伝ったと書いたツイートに反応したもの。
アフリカ系米国人の両親のもと、イランで生まれたジャレット氏は、シカゴ市政に関わっていた1990年代にミシェルさんを通じてオバマ氏と知り合った。それ以来、オバマ氏の市民活動や政界入り、ひいてはホワイトハウス入りを支え続けた最も古い側近の1人。オバマ政権では大統領上級顧問を務めた。

そのジャレット氏を中傷した自分のツイートについて、バー氏は「バレリー・ジャレットと全ての米国人に謝ります」と書いた。「彼女の政治と外見について、下手な冗談を書いて、本当に申し訳ない。不見識だった。許してください。あのジョークは悪趣味だった」とバー氏はツイートした。
しかしバー氏は、これ以前にも民主党関係者を攻撃したり、ユダヤ系の世界的投資家ジョージ・ソロス氏が「ナチス協力者」などと中傷するツイートを繰り返していた。ソロス氏の広報担当は、バー氏の発言は「侮辱だ」と反発した。
28日にはビル・クリントン元大統領とヒラリー・クリントン元国務長官の娘、チェルシー・クリントンさんが、ソロス氏の親類と結婚しているとツイートし、翌日にはチェルシーさんにツイートで謝罪。その謝罪ツイートの中でも、ソロス氏を「同胞を裏切ってナチスに協力した」と中傷していた。

27日には、オバマ夫妻が動画配信サイト「ネットフリックス」と契約してテレビ番組や映画の製作に取り組むという発表について、「ホワイトハウスから芸能界に行くべきじゃない」と批判していた。その上でバー氏は、「ただし、芸能界からホワイトハウスはいいと思うし」とトランプ氏は支持し、さらに「私もいつかそうするかもしれない」と、大統領を目指すかのようなツイートをしていた。
バー氏は2012年大統領選に、緑の党の候補として出馬した。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 ABC drops Roseanne show after racist tweet)

米女優ロザンヌ・バー氏のツイートが原因で、米ABCは人気コメディー番組を第2シーズンで打ち切った
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/17390/production/_101802159_tv047117502.jpg