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仏の高速炉計画 出力の大幅な縮小検討 日本に影響も
6月1日 18時39分

おととし廃炉が決まった福井県にある「もんじゅ」の後継として、日本が協力しフランスで建設される計画の高速炉について、フランスは、出力の大幅な引き下げを検討していることがわかりました。仮に出力を小さくした場合、経済性などのデータがどれだけ得られるか見通せなくなり、日本の高速炉開発に影響が出る可能性があります。

政府はおととし、高速増殖炉「もんじゅ」を廃炉にする一方、高速炉の開発は継続することを決め、国の作業部会が開発の体制などを検討しています。

1日は、高速炉の研究開発の柱とされ、日本が協力し、フランスで建設される計画の「ASTRID」についてフランスの原子力・代替エネルギー庁の担当者が説明しました。

担当者は、高速炉の開発は緊急ではなく、開発コストの抑制なども必要になることから、60万キロワットの出力を10万から20万キロワットまで大幅に引き下げることを検討していることを説明しました。そのうえで、すでに廃炉となったフランスの高速炉のデータなどを活用して運転や安全対策にかかわる解析を行って、高速炉の開発を行うとしています。

これに対して部会のメンバーのメーカーの担当者は、「出力が変更されても計画に参加できれば技術力の向上が図れる」と述べ、国の担当者は今後の開発協力について協議を続ける考えを示しました。

国は年内に今後10年間の高速炉開発の工程表を示すことにしていますが、ASTRIDの出力の引き下げが決まった場合、高速炉の実用化に必要な経済性などのデータをどれだけ得られるか見通せなくなり、今後の開発計画に影響が出る可能性があります。

一方、高速炉の開発をめぐっては、原子力利用の方向性を示す原子力委員会が、高速炉の商業化は現状では経済性が低いとして、ビジネスとしての成立条件や目標についても検討を行うべきだという考えを示しています。