6/5(火) 11:36配信
朝日新聞デジタル

 パソコンやスマートフォンの普及で、子どもたちがふとした拍子に過激な性的表現に触れてしまうことがある。一方で、学校での性教育には「寝た子を起こすな」という考えも根強い。保護者や身近な大人が、子どもに正しく性の知識を伝えるにはどうしたらいいのか。

 「どうしたら妊娠するか、学校では教えてくれない。親たちが逃げずに伝えて」。神奈川県相模原市の助産師、在川(ざいかわ)有美子さん(39)は5月半ば、親向けの性教育講座で約15人の参加者に、こう呼びかけた。10代で出産するリスクなどを解説し、「妊娠を『だめ』と言うのではなく、何でだめなのか一緒に考えてあげてほしい」と話した。

 在川さんは約3年前から、市内の小中高校で命や性に関する授業をしている。だが、学校側から「性交渉」「コンドーム」などの言葉を使わないよう求められることがあり、性のことを理解してもらうには、幼いころから「土台」をつくっておくことが必要だ、という思いがあった。

 子どもが「なんでママにはおちんちんがないの?」などと疑問を持った時が話をするチャンスと考え、地域の講座や子育てサークルなどで話すようになった。

 参加した女性(31)は、4歳の息子が自分の性器を触ることに悩んでいた。怒ってしまうこともあったが、「ママ友に相談するのはハードルが高い」。在川さんは、幼い子のこうしたしぐさについて「リラックスできる自然な行動です」と話した上で、「人前では触らないでね」「きれいな手で触ろうね」と伝えるようアドバイスした。

 このほか、水着で隠れる「プライベートゾーン」を人に見せたり、触らせたりしてはいけないと教えること、親が触る時も許可を取ってからにすべきこと、精通や月経が始まる前から下着を自分で洗う習慣をつけること、なども助言した。

 在川さんは「思春期に入る10歳までに、性行為の話までできるよう、幼児期からの環境づくりが大事です」と話す。親から子へ伝えることで、子どもが自分の存在を受け入れ、自分も相手も大切にできるようになる、と考えるからだ。

 講座では、女児がSNSで知り合った男の家に連れ込まれた事件を取り上げ、「連れて行かれた後に何が起こりうるかを知らないと、警戒心は生まれない」と防犯面からの性教育の必要性も訴えた。「性教育は自分の身を守る知識を与える『予防接種』でもあるのです」(野村杏実)

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