米トランプ大統領 G7出席へ 貿易問題で孤立も
2018年6月8日 16時18分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180608/k10011469081000.html

日米首脳会談を終えたアメリカのトランプ大統領は、G7サミット=主要7か国首脳会議に出席するためカナダに向かいます。史上初の米朝首脳会談に向けて北朝鮮の非核化に取り組む決意を訴え、各国の支持を取り付けたい考えと見られますが、貿易の問題などでは孤立することも予想されます。
トランプ大統領は7日、ホワイトハウスで安倍総理大臣と会談し、来週12日に行われる米朝首脳会談で日本人の拉致問題を必ず提起すると明言するとともに、北朝鮮の非核化に向けて日本と連携していく考えを強調しました。

このあとトランプ大統領は、G7サミットに出席するため、日本時間の8日夜ワシントンを出発し、カナダ東部のケベック州に向かう予定です。

G7サミットでトランプ大統領は北朝鮮の非核化に取り組む決意を訴え、史上初の米朝首脳会談に向けて各国の支持を取り付けたい考えと見られます。

ただ、アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領は、日本に加えEU=ヨーロッパ連合やカナダに対しても鉄鋼製品に高い関税を課すなど保護主義的な政策を取っているほか、イラン核合意から離脱し、各国から反発が強まっています。

このため貿易の問題などではアメリカとそれ以外の6か国が対立し、トランプ大統領が孤立することも予想されます。
米朝首脳会談前に「G7は気が散る」
アメリカのホワイトハウスは、トランプ大統領が現地時間の9日午前10時半にG7サミットを離れ、カナダから、米朝首脳会談が行われるシンガポールに向かうと明らかにしました。

G7サミットは9日午後まで続きますが、トランプ大統領は予定を早めて出発し、残るG7サミットの会合にはアメリカを代表して大統領副補佐官が出席するとしています。

アメリカのメディアは、トランプ大統領が米朝首脳会談を前に、貿易の問題などをめぐってみずからに批判的な首脳が集まるG7サミットは「気が散る」として不満を示していると報じていました。
「G7でなくG6+1」米と6か国が対立
貿易問題をめぐって、G7ではアメリカとそれ以外の6か国が厳しく対立する見通しです。

アメリカのトランプ政権はことし3月、安全保障への脅威を理由に、鉄鋼やアルミニウムに高い関税を課す輸入制限措置を発動しました。

中国や日本などが措置の対象になりましたが、当初はEU=ヨーロッパ連合やカナダは一時的に適用が除外されていました。

しかしアメリカが求める貿易不均衡の是正に向けた議論は進展せず、トランプ政権は先週、EUとカナダに対しても新たに高い関税を課すことを決めました。

この決定は、カナダで開かれたサミットの準備会合=G7財務相・中央銀行総裁会議の直前だったため、各国の閣僚から厳しい非難が相次ぎました。

フランスのルメール経済相は記者団に対し「緊迫した厳しい議論となり、G7というよりむしろG6+1だった」と述べ、大きな溝が広がっていることを明らかにしました。

そしてEUとカナダはそろってアメリカに対して報復措置をとる方針を示し、WTO=世界貿易機関に提訴しました。

議長国のカナダはG7の討議を終えたあと「アメリカの一方的な関税措置はマイナスの影響を及ぼす」と、アメリカを名指しで非難する異例の文書も公表しました。

これに対してG7の閉幕後、トランプ大統領はツイッターに「8000億ドル近い貿易赤字を抱えて貿易戦争に負けるわけにはいかない」と投稿するなど、対立もいとわない姿勢を強調しています。

貿易赤字の削減を目指すトランプ大統領と、対立する各国の首脳との間で、歩み寄りは見られるか、貿易摩擦や保護主義の広がりは世界経済のリスクになっているだけに、議論の行方が注目されます。

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