2018.06.10
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/230882
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進展すれば大きな可能性(C)共同通信社

 融和か、決裂か――。12日に開催が迫った史上初の米朝首脳会談。楽観的な見方の一方で、決裂の可能性も否定しがたい。どっちに転ぶかで、値上がりする関連銘柄も違ってくる。
 決裂なら、株式市場も一気に緊張が高まる。
「全般的に株価は下がるでしょうが、防衛関連は上がるでしょう。トランプ大統領が米朝会談の中止を発表した際も、急騰しています」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
 照明弾や発煙筒の細谷火工、機雷や弾薬の石川製作所、防毒マスクの重松製作所と興研、小銃の豊和工業、船舶に搭載する情報表示装置の日本アビオニクスのほか、Jアラートの受信機などを扱う理経にも注目だ。

 会談が決裂せず、朝鮮戦争終結や次の会談などの話に進展すれば、幅広い分野の関連株が反応しそうだ。まずは、インフラ関係。電力設備の日本工営は戦前、朝鮮半島で電源開発工事を行っていた。
太平電業は中国や韓国の発電所工事の実績がある。古河電工は北の国境に近い中国・瀋陽に電力ケーブルの工場を持つ。

■米大統領選とよく似た時間進行

 北の資源も魅力だ。
「北朝鮮の山には、電子部品に使われるレアメタル、海には水産資源が豊富です」(井上学氏)

 電子関連では、村田製作所や加賀電子などが挙げられる。北で取れたカニなど魚介類の輸入が増えそうだ。日本水産、極洋、マルハニチロに期待が持てる。
海上輸送で人気が出そうなのが兵機海運。1980〜90年代、日本には北向け航路を持つ船会社は6社あった。その後、北が国際的に孤立し、各社手を引いたが、兵機海運だけは北への輸出が全面禁止になる06年10月まで北に配船を続けていた。
さらに、北の労働者の縫製技術はレベルが高く、紳士服の生産委託の可能性もある。AOKIホールディングスに注目したい。

「米朝会談は12日、日本時間午前10時から始まり、午後に状況が伝えられます。2016年の英国のEU離脱の国民投票、トランプ氏が当選した米大統領選とよく似た時間の進行です。16年の東京市場は、ともに朝方150円以上も上昇し“意外な結果”が見えてくるにつれ、下がりました。
12日も朝方に、期待感から株価を押し上げる可能性があります。前日までに買っておいて、朝、上がればすぐ売るのも手かもしれません」(兜町関係者)
 12日は朝から兜町も慌ただしい。どっちに賭ける?