指を引っ張ると関節がポキッ。1世紀以上前から論争になってきたこの不思議な音の原理がとうとう解明されたかもしれない。米スタンフォード大などの研究者が音が鳴る仕組みを数式で示し、英科学誌サイエンティフィックリポーツに発表した。

 指が鳴る音は「クラッキング音」とも呼ばれる。関節に力がかかると、隙間を満たす液体中の圧力が変化し、たまった気泡がつぶれるときに音が鳴るという説が有力だ。

 研究者らは、中指の第三関節が折れ曲がって鳴るまでの様子を、数式を組み合わせてシミュレーションした。関節の直径などをもとに骨と骨の間を流れる液体の量を推定し、気泡の崩壊によって生じる圧力の変化がクラッキング音を生みだすことを数理的に導き出した。

 実際に3人の中指の音を測定し、数式で予測した音と比べてみたところ、よく似ることも確かめた。今回の成果だけで音が鳴る仕組みを完全に説明できたわけではないが、研究者は「音の原因は小さな気泡の崩壊によるものと考えるのが正しい」と自信たっぷりだ。(田中誠士)

2018年6月13日8時17分
http://www.asahi.com/articles/ASL617419L61ULBJ019.html