サイト閲覧者に仮想通貨をマイニングしてもらうことで収益を得られるツール「Coinhive」を設置した複数のサイト運営者が、不正指令電磁的記録(ウイルス)供用・保管などの容疑で相次いで摘発されている、との報道が出ている。

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Coinhiveはウイルスか?

 読売新聞の報道によると警察は、閲覧者の了解を得ずにCoinhiveを設置しているサイトについて、刑法が定める「(所有者の)意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」(ウイルス)であると判断し、少なくとも5人を捜査したという。

 モロさんは警察から、「事前に許可(もしくは予感させること)なく他人のPCを動作させたらアウト」といった説明を受けたという。だが、「解釈がめちゃくちゃアバウト」「不正な指令についてまるで考慮されていない」と指摘。CoinhiveがダメならAdSenseやGoogle AnalyticsなどのJavaScriptもアウトになり得るのではと懸念する。また、略式起訴されたことについて「さまざまな『アバウトさ』をすべてほぼ警察の独断で裁けるということになってしまう」とも心配する。

 このためモロさんは、罰金10万円に異議を申し立てる刑事裁判を起こすことにしたという。「僕がこの件をすごすご受け入れるとろくに調査もされないまま『Coinhiveは違法』という前例だけが残る」「この小さな前例は『Coinhiveはウイルス』と解釈を変える」「これがCoinhiveだけにとどまるとは限らない」「ウイルス罪は『不正な指令』の解釈次第」と考えたためだ。

 モロさんは「その裁判の勝ち負けさえ重要ではなく、今後の『ウイルス罪』運用を健全なものにし、新しい価値を生み出そうとするクリエイターが割を食うことのないよう、できることをしたい」と述べている。
http://www.itmedia.co.jp/news/spv/1806/12/news078.html