◇装備品の購入費縮減で6〜10年の長期契約

 防衛省は、米国からの有償軍事援助(FMS)による装備品の購入費を縮減するため、6〜10年の長期契約を新たに導入する検討に入った。調達予定数を一括契約することで、部品のまとめ買いなどによるコスト縮減を図る。今年度末に失効する長期契約法の期限を延長し、来年度以降に契約する予定の最新鋭のF35ステルス戦闘機などに適用したい考えだ。

 FMSは、価格見積もりや提供時期など米国が提示する条件を受け入れなければならない半面、最新鋭の装備を調達できるとして、近年急増している。全体の調達期間は5年を超えることが多いが、従来は数年に分けて毎年一定数を契約していた。財政法が、国の契約に基づく支出は5年以内に行うと定めているからだ。例えば、防衛省が42機の導入を決めているF35Aは、毎年2〜6機を契約してきた。

 しかし、契約を分割すると、企業側は長期的な調達予定を確定できず、部品なども毎年必要数だけを発注するため、結果的に調達コストが押し上げられ、割高になっているとの指摘があった。

 そのため、防衛省は、最新鋭の装備品でコスト縮減が見込める場合、調達期間を最長10年に延ばせる長期契約法に基づき、来年度以降のFMS契約の一部を6年以上にすることを検討している。

 長期契約法は2015年に時限立法で制定された特別措置法だ。国産のP1哨戒機の調達などに適用されたが、FMSへの適用例はない。米国から提供される装備品の情報が限られ、長期契約を適用することによる調達コストの縮減効果を財務当局に対して十分に立証できないなどの事情があった。防衛省は縮減効果を説明できるよう米国防総省などからの情報収集を強化している。小野寺五典防衛相もマティス米国防長官との会談で、FMS調達の効率化への協力を要請している。【秋山信一】

6/18(月) 6:30配信 毎日新聞
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