https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180618/k10011483521000.html

今回の地震ではブロック塀が道路側に倒れ、9歳の女の子が死亡しました。
これについて、地震によるブロック塀の被害に詳しい専門家は今回倒れた小学校のプールの周りにあるブロック塀は、
高さが非常に高く、補強用の壁もつけられていないと見られることなどから、「法令で定められた作り方で設置されて
いなかった可能性がある」と指摘しています。

昭和53年の宮城県沖地震を教訓に、地震によるブロック塀の被害の調査などを長年行ってきた東北工業大学の最知正芳教授は
「ブロック塀の倒壊による被害は、宮城県沖地震など過去の地震が示すとおり、地震で当然起こりうる都市型の災害で、
危険性を指摘してきたが、再び、こうした被害が出てしまったのは大変痛ましく、非常に残念だ」と話していました。

そのうえで、今回の地震で倒壊した小学校のプールの周辺のブロック塀について、「映像で見るかぎりは、塀の高さが非常に高いうえ、
倒壊を防ぐために基礎と塀を固定する『控壁』も設置されていないように見える。建築基準法の施行令で定められた作り方で
設置されていなかった可能性がある」と指摘しています。

さらに、「ブロック塀は倒壊すると、重さが数トンに達して非常に危険なうえ、今回の地震は通勤や通学の時間と重なったため、
タイミングも非常に悪く、大きな被害につながったのではないか」と話していました。

また、最知教授によりますと、ブロック塀より数は少ないものの、石を積み上げた「石塀」も内部に鉄筋などが無いケースが多く、
地震の揺れに非常に弱く、倒壊の危険性が高いということです。

最知教授は「現在は倒壊していないブロック塀なども、今回の地震の大きな揺れですでにダメージを受けていて、今後の地震で
新たに倒壊する可能性があるので、ブロック塀に近づかないようにしてほしい。また、ブロック塀を点検し、ひびが入っているなど、
危険なものは撤去することも必要だ」と呼びかけていました。


倒壊場所は通学路

高槻市教育委員会によりますと、地震で崩れた寿栄小学校のプールの外壁に面した道路は幅の狭い通学路で、
児童の安全を守るため壁沿いに「グリーンベルト」と呼ばれる通路が設置されていたということです。

子どもたちはこの通路を通るように指導されていて、通学時に大勢の児童が通るポイントだったということです。

プールの外壁について、これまで学校や地元の住民から危険性の指摘や改修の要望はなかったということです。

教育委員会は壁が作られたいきさつや、ほかにも危険な場所がないか詳しく調べることにしています。


壁の高さは3m50cm

高槻市などによりますと、この壁は高さ1メートル90センチのプールの基礎部分の上に、ブロックが8段、1メートル60センチの高さまで
積まれていて、壁全体の高さは合わせて3メートル50センチあったということです。

地震で倒れたあとの映像では、現場の壁はプールの基礎部分の上に積まれたブロック塀が折れているように見えます。