1972年の沖縄返還にあたって、沖縄から核兵器を撤去するものの、有事の際には再び持ち込むことを日本が容認したとされる密約について、当時のアメリカ軍統合参謀本部が核兵器の再持ち込みを強く求め、日本の容認を歓迎したことなどが記された内部文書が、アメリカ国務省によって公開されました。

この密約は、当時の佐藤栄作総理大臣とアメリカのニクソン大統領が1969年11月の首脳会談で、沖縄の返還で合意した際に結ばれたとされるもので、沖縄から核兵器を撤去するものの、有事の際には再び持ち込むことを日本が容認したとされています。

これに関連し、アメリカ国務省は20日、複数の内部文書を公開しました。

このうち、首脳会談開催の8か月前の1969年3月に、当時のキッシンジャー大統領補佐官がニクソン大統領に送った覚書では、「沖縄の返還に伴い、沖縄にある核兵器を失うことは太平洋地域でのわれわれの核能力が落ちることになり、アメリカ軍統合参謀本部が強く懸念している」と警告しています。

そのうえで、「統合参謀本部は、沖縄での核兵器の保有継続を求めているものの、ほかの政府機関は同意していない。もし核兵器を撤去するなら、大規模な有事の際に沖縄に核兵器を再び持ち込む権利を日本側と交渉するという選択肢がある。しかし、極秘に進めなければならない」などと記されています。

そして首脳会談の直後に、ニクソン大統領が閣僚や議会の幹部らを集めて行った沖縄返還に関する説明会では、当時の統合参謀本部のホイーラー議長の発言として、「統合参謀本部は、沖縄の核兵器について現状維持ができないのであれば、緊急時の核兵器の再持ち込みと通過権を得られる文言を声明に盛り込むよう求めてきた。そうした文言が声明に盛り込まれ、喜ばしい」と記されていて、密約の内容を歓迎している様子がうかがえます。

このほか、国務省が今回公開した文書には、佐藤総理大臣の特使として沖縄返還交渉にあたった若泉敬氏とキッシンジャー大統領補佐官との電話会談の内容などが含まれています。

2018年6月21日 17時12分
NHK NEWS WEB
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