スマートフォンの使用を1時間未満に抑えると成績向上につながることが、仙台市教委と東北大でつくる「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」による2015〜17年度の児童生徒の成績分析で分かった。成績の推移を追跡することで、長時間のスマホ利用と学力低下の関連性が明確に裏付けられた。

 15年度に小学6年と中学1年だった計1万4411人を追跡。市教委独自の「標準学力検査」と「生活・学習状況調査」の結果を基に、4教科の平均偏差値とスマホ使用時間の相関関係を分析した。

 スマホの使用時間ごとに児童生徒を3グループに分類すると、15年度の成績は1日当たり「1時間未満(偏差値52.1)」に抑えるグループが最も高く、「使用しない(同50.8)」「1時間以上(同48.9)」と続いた。

 17年度は最終的に3グループとも、スマホを使用しないか、1時間未満に抑えた場合に成績が上昇した。1時間以上使用するようになった児童生徒の偏差値は全グループで下がった。

 プロジェクトは10年度から学習意欲と生活習慣の関連性を調査。スマホ利用と学力の相関性などを明らかにしてきた。

 市教委によると、携帯電話・スマホの所持率は中学3年で76.5%。春日文隆・市教委学びの連携推進室長は「安否確認のためスマホを持たせる保護者は多い。使用を1時間未満に抑えるといったルールを学校や家庭で決め、適切な使い方ができるよう自己管理能力を身に付けることが大切」と話す。

 市教委は3月、結果をまとめたリーフレットを全市立小中学校に配布。授業や保護者会で、スマホの適切な利用を考えてもらう際に活用してもらっている。

2018年06月22日 金曜日
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