6/23(土) 3:00配信
<堺・偽装殺人>他殺見抜く「新法解剖」活用 睡眠薬を検出

 ◇13年施行、家族の同意必要なし 家庭内の変死事案で活用

 堺市で練炭自殺を装って弟を殺害したとして水道会社社長、足立朱美容疑者(44)が逮捕された事件で、明らかな事件性がなくても行える死因・身元調査法に基づく「新法解剖」を活用し、大阪府警が弟の遺体から睡眠薬の成分を検出していたことが明らかになった。他殺の見逃しを防ぐ目的で2013年に施行された同法は近年、虐待などの家庭内の変死事案で活用されるケースが増えている。


 足立容疑者は今年3月27日午後、堺市の実家兼会社事務所で、弟の聖光(まさみつ)さん(40)を睡眠薬で昏睡(こんすい)させ、トイレ内で練炭を燃やして殺害した疑いが持たれている。

 トイレには練炭が入った鍋が置かれ、遺体に外傷がなかったことなどから、府警は当初、自殺の可能性を検討したが、ライターなどの着火剤がトイレ内にないなどの不審点に着目。事件性が明白な場合に裁判所の令状を取って行う司法解剖ではなく、死亡翌日、警察の判断だけでも実施できる新法解剖をし、聖光さんの体内から睡眠薬の成分を検出した。足立容疑者が処方された睡眠薬と成分が一致し、立件に向けた捜査が始まった。

 死因・身元調査法は、大相撲時津風部屋で07年、当時17歳の力士が暴行され死亡した事件で警察が当初、遺体を解剖せず病死と判断したことなどが問題になり、議員立法で成立した。警察庁によると、司法解剖は毎年約8000件で推移し、新法解剖は施行された13年の1418件から17年に2844件と、5年間で倍増している。

 新法解剖は家族の同意を得る必要はなく、家庭内のトラブルから起きる殺人や虐待などの事件で行われるケースが増えている。【村田拓也、伊藤遥、柴山雄太】

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