渋川市北橘町の県埋蔵文化財調査センター発掘情報館で、
最新情報展「甲(よろい)を着た古墳人の武器・武具」が、開かれている。
渋川市の金井東裏遺跡で全国で初めて人骨が着たままの状態で出土した古墳時代の甲を初公開している。
当時の甲がほぼ完全な形で残存するのは全国的に珍しいという。 (菅原洋)

 この甲は二〇一二年、県埋蔵文化財調査事業団(渋川市)が国道工事に伴って発掘調査した際に出土。
六世紀初頭(古墳時代後期)に噴火した榛名山の火山灰から、うつぶせ状態の人骨とともに発掘された。
火砕流に巻き込まれて死亡したとみられる。

 出土品は積もった火山灰に守られて後世の破壊を免れ、奇跡的に良好な保存状態で残った。
人骨は甲などの特別な武具を持つため、地域の有力者とされる。

 甲は縦が六十〜七十センチ、胴回りが九十〜百センチ。
構造は幅約四・五センチの鉄製小札(こざね)を約千八百枚もつなぎ合わせている。
小札が小さく、数量が多いのが特徴で、制作には高度な加工技術が必要なため、
大型の前方後円墳の副葬品に相当する貴重な出土品という。

 甲は後部と、二つに分かれた前部から成り、前部はうつぶせ状態だったためにやや変形している。
全体がさびで茶褐色に変色しているが、注視すると、部分的に小札が確認できる。
出土後は慎重に保存処理を続け、昨年度末に完了した。

 会場には、この甲を含め、人骨に関連するとみられる別の甲や鉾(ほこ)と鏃(やじり)、
県内の他の遺跡の出土品など計四十五点を展示している。

 県埋蔵文化財調査事業団の新倉明彦専門官兼普及課長は
「甲は近寄って細かい部分も見学できるので、実物の質感を感じてほしい」と来館を呼び掛けている。

 入館無料で、九月三十日まで。土曜と祝日は原則休館。

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東京新聞:
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