◆プログラミング教育が小学生から順次必修化へ 就活でも不可欠なPCスキル

2020年度から実施される小学校の新学習指導要領で、論理的な思考力を育てる「プログラミング教育」が必修化される。
中学校では2021年度から、高校では2022年度から順次拡充・必修化され簡単なプログラミングなどを教わるが、小中高校生の親の43.9%が約2年後に迫った小学校での必修化について「知らない」と答えている(※)。

また経済産業省はIT人材の不足が2015年の17万人から2030年までに最大79万人に拡大するとの予測をしており、社会から求められるスキルの変化と、それに伴う学習方針の変化が十分に周知されていないのが現状だ。
そうした中、パソコンメーカーなどから成る業界団体WDLC(ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム)が、子供のいる家庭向けにパソコンを活用した教育を呼びかける活動「My First PC 〜はじめてのマイパソコン〜」を活発化させている。
プログラミング教育の必修化を目前に、2016年から始まったこの活動の重要性はますます高まっているようだ。

■小学生がプログラミングに挑戦

6月1日、千葉市の千葉大学教育学部附属小学校4年生の理科の時間のこと。
WDLCの協力のもと、電気の働きを学ぶ“授業”が行われた。

電気の授業というと乾電池と豆電球で直列・並列つなぎ等を学ぶのをイメージする人が多いかもしれないが、子供たちが向かうのはパソコンと、パソコンに接続された約5センチ四方のセンサー付きマイクロコンピューター(マイコン)、「micro:bit(マイクロビット)」だ。
子供たちはパソコンを操作して、インターネットのウェブサイト「MakeCode(メイクコード)」で画面に表示されるカラフルなブロックを組み合わせ、周りが暗くなるとマイコンに設置された25個のLEDがおばけの形に光るように設定。
成功すると歓声があがった。

つまりマイコンのセンサーの検知によって「教室の明るさが指定した値を下回った」ときに、「25個のうち選択したLEDだけを光らせる」命令を実行させたわけだ。
アルファベットや数字などを用いるプログラミング言語で記述しなくても、やっていることはプログラミングそのものだと言える。

授業を通じて、身の回りの照明器具や電化製品等で見られる事象も、目に見えないところには同じような仕組みがあると関心を持たせる効果があったという。
また、暗くなったらライトが光りスピーカーから音が鳴るものを作るにはどうすればいいか、などと意欲を持って論理的に考える姿も見られたそうだ。

来るべき教育環境の変化にいち早く対応した企業もある。
大手ゲーム機器メーカーは「入力」と「出力」を自由に組み合わせて遊ぶ工作キットを開発した。

コントローラーを振ったりボタンを押したりする動作で命令を「入力」、ゲーム機器から音が出たり、コントローラーとダンボールを組み合わせて作った模型が動いたりする結果を「出力」するのだ。
映画やテーマパーク等を展開する巨大企業のキャラクターといっしょに、本格的なプログラミングを学ぶソフトウェアも登場している。
また、パソコン教室の需要増も見込まれ、子供向けプログラミング教育市場は今後急拡大すると見られる。

しかし、教育目的で子供に持たせる「はじめてのマイパソコン」は浸透していない。
2013年度の内閣府調査によると、欧米の中学生の6〜7割がパソコンを所有しているのに対して、日本は22.1%。

JEITA(電子情報技術産業協会)は、パソコンの国内出荷台数が2013年度から2017年度にかけ、右肩下がりが続いたとしている。
将来的には子供にパソコンが必要になる可能性を考えつつも、買い与えるのには二の足を踏んでいる親世代の姿が浮かび上がる。

産経ニュース 2018.6.27 11:00
https://www.sankei.com/smp/life/news/180627/lif1806270002-s1.html

※続きます