https://jp.reuters.com/article/northkorea-nuclear-cost-idJPKBN1JS0ZO

トップニュース
2018年7月3日 / 03:35 / 10時間前更新
焦点:北朝鮮の「非核化」費用、一体いくら必要か
[ウィーン 29日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は、6月12日にシンガポールで行われたトランプ米大統領との米朝首脳会談で、「朝鮮半島の完全非核化に向けて取り組む」ことを約束した。

これを受けて、ポンペオ米国務長官と北朝鮮当局者との協議が行われる予定となっており、トランプ大統領は最近、「完全な非核化が実現されるだろう。それはすでに始まっている」と発言している。

北朝鮮の非核化が実現すると仮定した場合、それはどのような形で実現し、どの程度のコストがかかるのだろうか。

●「非核化」とは何か

非核化の定義は明確さから程遠く、米国と北朝鮮それぞれにとって異なる意味を持つ可能性もある。

それが厳密にどのような形となるかは、交渉次第だ。主要国との核合意の下でイランに認められたように、北朝鮮は、ウラン濃縮など、民生利用が可能な一部の核活動の継続を求めることも考えられる。

一方、米政府にとって、非核化は、最低でも北朝鮮の核兵器の脅威を取り除くことを意味する。

それには、既にある核兵器を国外に搬出するか解体し、核兵器を製造するプログラムを終了させ、ウランを濃縮したり、核兵器のもう1つの重要な材料であるプルトニウムを製造する北朝鮮政府の能力を制限したり除去する必要がある。

また、北朝鮮の弾道ミサイルプログラムを制限、もしくは解体することも必要になる可能性が高い。

●判明していること、まだ把握できていないこと

さらに複雑なことに、北朝鮮の核活動や核兵器プログラム、弾道ミサイルの性能については、分かっていないことが依然として多い。これらは、世界有数の秘密主義国家で行われている、極秘中の極秘活動の1つであり、各国の諜報機関が侵入に苦戦している事項だ。

北朝鮮は2006年以降6度の核実験を実施しており、回数を重ねるごとに爆発の規模が大きくなった。また、ミサイル実験でも急速に技術を改良して射程を伸ばし、外国政府を驚かせている。

北朝鮮が昨年12月に実施した大陸間弾道ミサイル実験は、米国本土の大半を射程に収めているようだと各国政府や専門家は指摘している。ただ核弾頭が標的めがけて地球の大気圏に再突入するために必要な技術を、北朝鮮はまだ完成させていないと、多くがみている。

●北朝鮮の核施設

平壌の北にある寧辺(ヨンビョン)の核施設は、歴史的に北朝鮮の核開発の中心的存在だ。そこには、プルトニウムを抽出できる使用済み核燃料を取り出す原子炉のほか、(建設中の)実験用原子炉があり、衛星写真を分析している専門家は、完成間近だとしている。

寧辺にはまた、ウラン濃縮施設があると考えられている。ただ、専門家の多くは、寧辺以外にも、より大規模な濃縮施設が1、2カ所ある可能性が高いとしている。

北朝鮮は核兵器に必要な核分裂物質を得るために、プルトニウム再処理とウラン濃縮という2つの手段を確立している。

寧辺の核施設は衛星によって厳しく監視されており、2009年に退去させられるまでは国際原子力機関(IAEA)の査察官も監視していたが、他の場所にある国内施設についてはほとんど知られていない。

米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト氏は以前、北朝鮮の核施設の半数程度は、寧辺や核実験が行われた実験場以外の場所にあるとする匿名の「当局筋」の発言を引用している。
(リンク先に続きあり)