2018.7.18 18:24

 自動運転技術のベンチャー企業ZMP(東京)とタクシー会社の日の丸交通(同)は18日、8〜9月に東京都内で自動運転車両によるタクシー運行の実証実験をすると発表した。ZMPによると、公道で自動運転タクシーが乗客から料金を取って走行するのは世界初という。実験を通し両社は、目標とする2020年東京五輪・パラリンピックでの無人タクシー運行の準備を加速させる。

 今月31日までインターネットで乗客を募集し、多数の場合は抽選で決める。期間は8月27日〜9月8日の約2週間(9月2日を除く)で、「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」(千代田区)と「六本木ヒルズ」(港区)を結ぶ約5・3キロを、決められた順路で1日4往復する。料金は片道1500円。

 トヨタ自動車のミニバン「エスティマ ハイブリッド」をZMPが改造した自動運転車両1台を使う。運転席には日の丸交通のタクシードライバーが、助手席にはZMPの担当者が座り、不測の事態に備える。

 日の丸交通は東京五輪・パラリンピック開催時にZMPの自動運転車を導入して国内外からの観光客らを運ぶ計画。自動運転技術の進展はタクシー会社のビジネスモデルを壊す可能性も指摘されるが、日の丸交通の富田和孝社長は18日、都内で開催されたZMPのイベントで、「人手不足で車両の稼働率は右肩下がり。ドライバーの高齢化が進む一方でインバウンド客は増え、タクシーの需要に供給が追いつかなくなる危惧がある」と強調。「需給バランスの調整弁」として無人タクシーを活用する必要があると訴えた。

 ZMPの谷口恒(ひさし)社長は「自動運転はハード・ソフトが整いつつあり、今が商業化のチャンスだ」と、イベント参加者に呼びかけた。同社は、既存車両にカメラなどを取り付けて自動化した「ロボカー」を展開しているが、自動運転を使ったサービスの開発を目指す事業者らからの引き合いが強まっているという。18日には、海外の富裕層に人気がある高級スポーツ用多目的車(SUV)のロボカー投入を発表した。価格は2200万円(税別)で、12月末に出荷を始める。

https://www.sankei.com/economy/news/180718/ecn1807180025-n1.html
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