https://www.bbc.com/japanese/44869028

顧客の家まで徒歩30キロ 社員に社長が車を贈る 米アラバマ州
2018/07/18

米南部アラバマ州で、顧客の家まで20マイル(約32キロ)を歩いて向かった引っ越し会社の社員に、社長が自分の自動車を贈り、ソーシャルメディアで話題になっている。

引っ越し会社ベルホップスでの勤務初日、自分の車が故障していたウォルター・カーさんは、同州バーミンガム近郊を歩いて仕事場に向かった。

歩いているカーさんを呼び止めた警官は、カーさんの根性に感動し、朝食を食べさせたという。

引っ越しの依頼者、ジェニー・レイミーさんはフェイスブックで経緯を紹介している。レイミーさんと夫は先週13日、午前8時ごろに引っ越し業者が到着する予定だったため、朝早く起きた。

午前6時半に玄関のベルが鳴り、ドアを開けると、地元ペラム市警の警察官に伴われた引っ越し作業員のカーさんがいた。

「彼(警察官)の話では、『この好青年』をけさ早く、車に乗せてきたと言うんです」とレイミーさんは投稿で語る。
「この好青年、ウォルターさんは、きょう私たちの引っ越しを手伝うことになっていると言うんです」

「彼はホームウッドから一晩中歩いてぺラムまで来たんです。仕事に間に合うために。これを読んでいるのが地元じゃない人のために説明しておきますが、距離は20マイル以上あります」
ぺラム市警はツイッターで、「この青年と出会えて誇らしい思いです。我々は確かに彼から多くのことを学んだ」とコメントした。

「警察官は、けさ彼を車に乗せ、朝食を食べさせて、彼の話を聞いた後、私たちの家まで連れてきたって話しました」とレイミーさんの投稿は続く。

レイミーさんは、ほかの作業員が到着するまで休むようカーさんに言ったものの、カーさんはすぐに仕事に取り掛かりたいと話した。
キッチンでレイミーさんの作業を手伝いながら、カーさんはルイジアナ州ニューオーリンズで子供時代を過ごしたことや、2005年に米国で多数の犠牲者を出した超大型ハリケーン・カトリーナで家が破壊され、テキサス州ヒューストンに移ったことなどを語ったという。

「ウォルターさんがたどった旅路にどれほど心を打たれたか言い表しようがない」とレイミーさんは投稿で述べた。
「一人で夜中に歩きながら(中略)やっぱりやめようと何度思ったことだろうと、これでよかったのか何度迷ったことだろうと。想像も付かない」
「それでもここまで歩き続けた! この青年を心から尊敬する!」
ベルホップスのルーク・マークリン最高経営責任者(CEO)は先週末、この新人に会おうと、テネシー州から自動車を運転してやってきた。
コーヒーを飲みながらカーさんと話した後、マークリンCEOは2014年型のフォード製「エスケープ」の鍵をカーさんに渡した。
(リンク先に続きあり)
(英語記事 Alabama employee gets new car from boss after 20-mile walk)

周囲からたたえられ感情を抑えきれない様子のカーさん(写真中央)
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/15302/production/_102568768_captur76oe.jpg