https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180724-00000525-san-soci

【衝撃事件の核心】

「口封じのため確実に死亡する方法で殺害した」

「動機に酌量の余地はなく、有期刑が相当とはいえない」

平成16年1月、茨城大農学部2年の女子学生=当時(21)=を暴行し、殺害したとして、殺人と強姦(ごうかん)致死の
罪に問われたフィリピン国籍のランパノ・ジェリコ・モリ被告(36)に、検察側は無期懲役を求刑した。
前途ある女子学生の命がなぜ奪われたのか−。水戸地裁の法廷では、14年半の歳月を経て事件の真相が語られ始めた。

「間違いありません」

17日の初公判で起訴内容を認めたランパノ被告の声は、通訳の女性が思わず聞き返すほど弱々しかった。

この日、ランパノ被告は白のTシャツに灰色のズボン姿で出廷。名前などを問われると、ほとんど表情を変えず淡々と答えた。

しかし、午後に行われた証人尋問で妻が証言台に立つと、ランパノ被告の表情はみるみるこわばっていく。
妻が「夫は真面目で、3人の子供をとてもかわいがっていた」と語ると、ランパノ被告はうつむき、手で涙をぬぐった。

「事件当時は若く、先のことを考えることができなかった」というランパノ被告。事件後の平成17年に子供が生まれ
心情の変化が起きたという。「娘が生まれて事件のことを思い出し後悔するようになった」と語り「被害者や遺族に申し訳ない。
子供を持って遺族の苦しみが分かるようになった」と反省の弁を述べた。

だが、事件の詳細について尋ねられても、「覚えていない」と話す場面が目立ち、
裁判官に「しっかり思い出して話すように」と注意されることもあった。

起訴状によると、ランパノ被告は16年1月31日午前0時から同6時半ごろまでの間、フィリピン国籍の男2人と共謀し、茨城県阿見町の
路上で、女子学生を車に連れ込んで暴行。さらに、清明川の河口付近で首を刃物で複数回切るなどして殺害したとしている。

検察側の証拠調べでは、当時女子学生と交際していた男性の供述調書から、事件直前の女子学生の行動が明らかになった。
女子学生は自宅で男性と飲酒後、一人で外出。男性は寝ており、部屋には「散歩に行きます」という書き置きが残されていた。
「散歩」は、2人がけんかをした際などに「距離を置くため家を出ること」を意味する言葉だったという。

「自分が犯人と疑われたこともあった。真犯人が見つからないもどかしさを感じていた」

男性はこう語り、「犯人には遺族の意思を尊重した罰を与えてほしい」と述べた。

18日の被告人質問では、事件直前に3人で酒を飲んでいた際、共犯の1人が暴行を提案したことが犯行のきっかけだったとして、
ランパノ被告は「仲間に誘われて事件を起こした」と述べた。その後、自転車に乗っていた女子学生を発見したランパノ被告らは、
乗っていた車で自転車の進路を妨害し、女子学生を車内に連れ込んだ。殺害の理由を「警察などに話されたら困るから」と語り、
暴行を決めた段階で殺害まで計画していたことを明かした。