私立大学にとって受難の時代が続いている。帝国データバンクの調査【※1】によると、
私立大学法人の約4割が赤字経営であり、3期連続赤字は約2割を占めるという。

 
少子化で厳しい経営環境に置かれる私立大学は、今後どうなるのか。帝国データバンク東京支社情報部記者の佐藤綾子氏は、
「大学の倒産ラッシュが起こることは考えにくいが、大学同士の合従連衡は十分にあり得る」と解説する。
私立大学の未来について、佐藤氏に聞いた。



■約4割が定員割れで留学生呼び込みへ

 

文部科学省の調査では、
私立大学で入学定員充足率が100%以上の割合は、1996年度には96.2%を占めたが、
少子化を背景に2017年度には60.6%に大幅ダウンしている。すでに定員割れの私立大学の割合は39.4%にのぼっており、
大きな経営課題となっていることは明白だ。

 私立大学では、収入の77%を学生納付金が占めており、
国立大学の12%を大きく上回る。そのため、学生数の減少が収入高や損益に大きな影響を及ぼす構造となっているのだ。

 
そこで、私立大学は外国人留学生を積極的に呼び込む方向に舵を切った。
今や全国的に、中国人やベトナム人、ネパール人などの留学生がキャンパスを闊歩している。


「海外からの学生の受け入れを増やす背景には、私立大学は学生数をキープし学生納付金を確保したいという事情があります。
さらに、国から私立大学への補助金が基本的に学生数に比例するという事情もあります」(佐藤氏)

 
かつては保守系大学といわれた拓殖大学や国士舘大学も今は留学生を受け入れるなど姿勢をやや転換させているが、
背景には背に腹はかえられない事情があるようだ。

 一方で、私立大学に限らず、大学全体に襲いかかるのが「2018年問題」だ。
18 歳人口は1992 年の205 万人をピークに減少基調で、2009年以降は120万人前後で横ばいに推移していた。
しかし、18 年から再び減り始め、31 年には100 万人を割り込むと予想されているのだ。


「増収対策として考えられるのは、留学生に加えて社会人学生を増やす、入学金や学費などの値上げで収入をキープする、といった方法です。
一方、支出面では大学の運営費は人件費と研究費で約9割を占めています。
大学内の“リストラ”を断行するのが難しい面は否めないため、他校と連携することで経費削減を試みるのではないでしょうか。


 また、規模によっても状況は変わります。大規模大学は潤沢な資本金があるのでまだ余裕がありますが、
小規模大学はより早急に手を打つことが求められるでしょう」(同)



■3期連続赤字の私大が約2割

 

帝国データバンクの調査では、私立大学の厳しい経営状況が浮き彫りになっている。

 

まず、498法人の16年度の年収入高を規模別にみると、「10億〜50億円未満」(241法人、構成比48.4%)が最多となっている。
また、16年度で増収となったのは260法人(同55.4%)、減収となったのは209法人(同44.6%)だ。
黒字は275法人(同62.8%)、赤字は163法人(同37.2%)であり、「3期連続赤字」は84法人(同19.9%)となった。

 
地域別では、「関東」が194法人(同39.0%)で最多。
16年度の増収となった法人の構成比がもっとも高かったのは「四国」(同80.0%)、
黒字となった法人の構成比がもっとも高かったのも「四国」(同100.0%)となっている。


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