今月に最高気温40・7度を2度記録した岐阜県多治見市では、ここ10年、熱中症で亡くなった人はいない。全国的な猛暑で死者が相次いでいるが、約11万人が暮らす市はどんな対策をとっているのだろうか。

 「ただいま、市内の気温が38度を超えました。熱中症に気をつけて下さい」

 今月24日昼。市内191カ所にある防災無線のスピーカーから、チャイムとともに注意を促す放送が流れた。2006年から続く市独自の取り組みだ。38度を超えると放送する。この日、午後1時台に最高気温39・1度を観測した。

 「ピンポンパンポーン、と鳴ると今日も暑くなる、気をつけなきゃと思います」と市内の50代女性は言う。07年8月に当時の国内最高気温40・9度を記録した時は「サウナのようだった」と振り返る。「今年は夜、寝にくい日が多くて、エアコンなしでは過ごせません」

 防災無線のほかにも、市民約1万3千人が登録する緊急メールで、屋外でのスポーツ自粛や水分補給を呼びかける。多治見駅など3カ所にミストがあり、15年からはすべての小中学校や幼稚園、保育園に持ち運べるミスト装置を置いた。

 市によると、07年以降、熱中症で救急搬送される人はいるが、熱中症で亡くなった人はいないという。猛暑で全国的に知られるようになった市は「暑さ対策日本一」を掲げてきた。担当者は「重症化する前に対処できているかもしれない」と語り、一定の効果を上げているとみる。(斉藤佑介)

40・7度を記録した今月23日、JR多治見駅北口の虎渓用水広場では、子どもたちがびしょぬれになって噴水で遊んでいた=2018年7月23日午後3時
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2018年7月31日06時46分
朝日新聞デジタル
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