文部科学省は31日、全国学力・学習状況調査(全国学テ)の結果を公表した。県内の中3は全ての教科で平均正答率が全国を下回り、都道府県別では各教科とも最下位を脱することができなかった。ただ、全国平均との差は、最大でも数学のA問題(主に知識)が7・1ポイントで、本調査が始まった2007年の14・7ポイントからは半減している。国語、理科は全国より3〜5ポイント低かったが前回より改善した。小6は各教科とも、全国からマイナス2・7〜プラス2・5ポイント差で全国並みを維持した。

 文科省は「全国並み」の基準として「上下5ポイント以内が目安」としている。本調査が始まった07年、県内は全国より平均正答率が小学校は科目によって5〜9ポイント、中学校は7〜14ポイント低かった。県教委は「取り組みは着実に進んでいる」と評価している。

 文科省も「ほとんどの都道府県で平均正答率の差は縮まっている」との見方を示し、県内を含めて今年も「地域、各教委、学校間でそれほど大きなばらつきはない」としている。過度の競争をあおらないため昨年から都道府県別の平均正答率は整数値で発表している。

 公立小中学校の参加率は全国100%で、県内は琉大付属小・中、沖縄カトリック小・中、沖縄尚学中、興南中も参加した。

 中学校の数学の平均正答率は授業の理解度との相関が強く、県内は生徒に「授業内容はよく分かるか」と聞いた質問に「当てはまる」「どちらかと言えば当てはまる」と答えた割合は合わせて65・7%で全国より5・3ポイント低かった。「当てはまらない」と答え、授業が理解できないとする生徒も1・6ポイント多い9%おり「分かる授業」への課題が浮かんだ。
大人と関わり 薄さ露呈 低い「行事参加」「自然観察」

 文部科学省が31日、発表した全国学力・学習状況調査(全国学テ)のうち、学校と児童生徒に学習状況や取り組みを聞く質問紙では、県内は「地域の行事に参加している」とした小6が22・9%と全国より低く、小学生の質問紙の中で最も大きい13・0ポイントの差がついた。「自然の中で遊んだり自然観察をしたことがある」と答えた小6は59・6%、中3は41・6%で全国より7〜8ポイント低かった。「豊かな自然」「地域のつながりが強い」といった“沖縄イメージ”に反して、子どもたちの活動は全国より活発ではない傾向が表れた。

 「(兄弟姉妹を除く)家族と学校の話をしている」と答えた小6は45・5%で、長時間を過ごす学校での出来事を家で十分に話していない児童が半分以上おり、全国より7・3ポイント低かった。中3では38・0%で全国より6・7ポイント低かった。

 これらの項目は、いずれも家族や地域の大人の関わりが必要な活動だ。県の子ども調査で、県内の親は全国より非正規就労が多く、労働時間が長く、就労日数も多いことが明らかになっている。琉球大の長谷川裕教授(教育社会学)は「仕事に追われ、子どもに関わることができない親の姿が表れている」と指摘した。

 また3年に1度行われる理科の学力調査に関連して、別の教員や支援員が授業をする教員を補助する「観察実験補助員」がいるとした小学校は、全国14・7%に対して県内はわずか1・2%(3校)だった。中学校は全国4・4%に対して県内1・4%(2校)。県教育庁の担当者は「高校には同様の助手がいるが、小、中学校では聞いたことがない」と話し、市町村や学校が独自に配置しているとみられる。「ただでさえ教員は授業時数が多く、実験は準備から大変。手伝ってくれる人がいればとても助かる。実施校の内容を知りたい」と話した。

8/1(水) 7:34配信 琉球新報
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