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 文部科学省は31日、4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。調査開始の2007年度以降、小中学校ともに地域差が縮小する状態が続いていると説明。3年ぶり3回目の実施だった理科でも下位県の底上げが進んだ。同省は「成績のよい地域に指導法を学ぶといった取り組みが効果を上げている」と分析するが、応用力をみる問題の正答率は低く、依然として思考力向上が課題だ。

 学力テストは07年度に始まり、今回で11回目。小学校6年と中学校3年の児童生徒を対象に、国語と算数・数学は毎年、理科は3年に1度実施する。国語と算数・数学は、主に知識を問うA問題と応用力を問うB問題がある。今年は全国の国公私立の小中学校計約3万校で、約205万人が参加した。

 全国の国語と算数・数学の平均正答率は、各科目ともA問題よりもB問題が12〜19ポイント下回った。文章や図などから複数の情報を読み取り、言葉で説明する問題で苦戦。思考力や表現力が伸び悩んでいることが分かった。

 都道府県の平均正答率の上位は例年通り、秋田や福井、富山、石川などが占めた。

 年度ごとの全国の平均正答数を100と換算し、上位3県と下位3県の平均を出したところ、下位3県の底上げが進んだことも分かった。07年度と比べると、下位3県は国語と算数・数学の8科目中7科目で改善。中学の国語Bは07年度比2.1ポイント増の98.9だった。

 理科は1回目の12年度と比べ、小学校が0.7ポイント増の99.0。中学校が1.2ポイント増の98.5だった。

 文科省は今回、例年より1カ月早く結果を公表した。教員に時間的な余裕がある夏休み期間中に結果を分析し、授業研究を進めてもらう狙いだ。児童生徒や学級ごとの苦手分野が分かるようなデータも今回から提供し、結果の活用を後押ししていく。

2018/7/31 17:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33618870R30C18A7MM8000/