生涯未婚率の「男女差」

少子化、高齢者の孤立、「おひとりさま」……様々な社会の課題と結びついていると考えられる生涯未婚率
特に注目すべきは、その男女差が拡大していることだ。

15年の生涯未婚率は、前述の通り男性が23.4%、女性が14.1%。「団塊ジュニア世代」が生まれる直前の1970年には、生涯未婚率は男性1.7%、女性3.3%だった。
半世紀ほど前には、結婚歴のない人がわずかではあるが男性の方が少なかったのだ。

しかし、その後の45年間で、結婚歴のない男性の割合は実に14倍(女性は4倍)に増えた。
結婚歴のない男性の割合が「50人に1人」から「4人に1人」へと激増したのだ。

未婚率に差がつく理由とは?

生涯未婚率の男女差に言及せず、まとめて「未婚化が進んでいる」という指摘はよく耳にする。

その多くは、1986年の男女雇用機会均等法の施行以降、女性の社会進出が進む一方、近年は非正規雇用の男性が増えたことを背景に、
「エリート女性は自分と同水準かそれ以上のステータスや収入の男性との結婚を望む」「収入が不安定な男性は、家庭を持つ自信がなく結婚に踏み切れない」などとして、結婚の「ミスマッチ」が発生している、とする言説だ。

また、各種の意識調査の結果から、未婚者の希望する世帯年収が既婚者に比べて高くなるという「経済観念」、男性が自らの経済力を“結婚力”の根拠にしたがる「伝統的大黒柱観」などといった問題を指摘する声もある

これらの根拠から、一般的な「未婚化」の理由は説明できよう。しかし、男女の生涯未婚率の大きな差を説明することはできないのではないか

生物学的には本来、成人男女はほぼ同数存在するはずである。国の人口統計を見ると、50歳までは男性が多いものの、その差はわずかに過ぎない
16年6月1日現在、49歳までの人口は約6881万人で、そのうち、男性が約3505万人、女性が約3376万人。差は120万人余りだ(平均寿命は女性の方が長いため、50代以降は男女の数が逆転している)

ところが、未婚率は年齢が上がれば上がるほど差が開く。20代前半の時点では、男性と女性の未婚率はほぼ同じだ
しかし、30代前半になると男性の未婚率が女性の1.4倍になる。さらに40代前半では1.5倍、40代後半では1.6倍、そして50代前半では1.8倍となる。

一体、なぜこんなに差が開くのか。