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 文部科学省幹部が賄賂を受け取ったとされる汚職事件は、この1カ月で局長級幹部2人が起訴される異常事態に発展している。一連の事件には、国会議員の影響力を使い、省庁をまたいで人脈を広げようとした同じコンサルタントが介在していた。

 「国会議員がケツ持ち(後ろ盾)になってくれる」。医療コンサル会社元役員の谷口浩司容疑者(47)は知人にこう話し、自らが国会議員の影響力を使って官僚を動かせると誇っていた。

 永田町や霞が関には、議員や官僚が持つ政策や公共事業の情報を仕入れ、企業から利益を得る「霞が関ブローカー」が存在する。捜査関係者は元役員もこうした一人とし、「同種のブローカーとしては『新参者』だった」と語る。

 元役員は日体大の出身で、スポーツトレーナーなどを経て、2015年に医療コンサル会社の取締役に就任。「新参者」ながらも省庁に幅広いパイプを築けたカギは、二つあった。

 その一つが、谷口元役員と共謀したとして特捜部が捜査を進めているコンサル会社の別の元役員の存在だ。2人を知る関係者によると、民主党(当時)の衆院議員だった妻を持つこの元役員から、谷口元役員は議員や官僚との付き合い方を教わったという。関係者は、元役員が「色々なことをしてきたが、今は成功している」と話していたのを覚えている。

 もう一つは、谷口元役員が数年前、元閣僚の旧民主党系参院議員の「政策顧問」としての肩書を得たことだ。官僚側には、政策を進めるために議員との関係が欠かせず、議員の名を使う人物との面会をむげに断れないとの思いがある。文科省の幹部は「議員への説明をする過程で、色々な人が引っかかってくる」と話す。起訴された前国際統括官の川端和明容疑者(57)は民主党政権時代に国会対応を担う総務課長を務め、同党系の議員らと接する機会も多かったとされる。

 谷口元役員は前統括官ら複数の同省幹部を、会員制の日本酒バーや銀座の高級クラブで接待。相手の趣味に応じてゴルフやオペラ鑑賞にも付き合った。「いつもニコニコして人の懐に入るのがうまい」(元役員の知人)性格を生かし、他省庁の幹部を紹介させて人脈を広げたとみられている。

 関係者によると、谷口元役員ら…残り:329文字/全文:1227文字

2018年8月15日23時22分
朝日新聞デジタル
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