【カラカス=田口直樹】南米ベネズエラ政府は20日、急激な物価上昇(インフレ)に対応するため、通貨の単位を10万分の1に切り下げるデノミネーション(デノミ)を実施した。インフレと物資不足で国民生活が困窮する中、政府は経済危機への根本的な対策を示しておらず、デノミの効果も疑問視されている。

 ◆100万%

 「子供たちが十分な食事を取れず、栄養失調になっている。心配だ」。幼稚園教諭のホセ・ラモスさん(38)はうつむいた。勤務する北部スクレ州の国立幼稚園で給食の配給量が減り、自宅でも食事を取れずに体調を崩す児童が多いためだ。ラモスさんは「薬も手に入らず、野草を煎じて飲ませている」と語った。

 ベネズエラでは、食料や医薬品の不足で栄養失調や感染症による死者が相次いでいる。国民の体重が2017年に平均11・4キロ減少したという地元大学の調査結果もある。

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