閉館水族館 とり残されたイルカやペンギン助けて 千葉
毎日新聞2018年8月24日 10時51分(最終更新 8月24日 15時08分)
https://mainichi.jp/articles/20180824/k00/00e/040/257000c

 老朽化のため今年1月に閉館した民営水族館「犬吠埼マリンパーク」(千葉県銚子市)には今もバンドウイルカ1頭とフンボルトペンギン46羽がとり残されている。譲渡交渉の難航が原因とみられる。県保健所は「飼育状況に問題はない」としているが、銚子市には他の園へ移すよう求めるメールや手紙が800件超寄せられている。

 市などによると、残されているイルカは雌の「ハニー」。和歌山県太地町沖で2005年に捕獲され、水族館ではイルカショーなどで人気を集めた。
 水族館は1954年に市営の銚子市水族館としてオープンし、63年に民間に売却された。11年の東京電力福島第1原発事故などで来場者数が落ち込み、耐震工事が必要になったことなどから閉館した。

 関係者によると、閉館後も運営会社が餌やりなどを続けており、関東地方にある水族館と譲渡交渉をしていた。だが、交渉の途中で運営会社と突然連絡が取れなくなり、市が問い合わせの電話を入れても4月以降、出なくなったという。
 千葉県海匝(かいそう)保健所は閉館後も月1回、立ち入り調査を実施。7月26日の調査では「イルカやペンギンの飼育状況に問題はなかった」としている。
 動物保護団体が今月12日に「ハニーを助けて」と呼びかけたことをきっかけに、市に要望が殺到している。「ひとりぼっちで可哀そう」「早く引き取ってあげて」などと、他の水族館へ移すよう求める内容が大半という。一方、市観光商工課は「市に立ち入り権限がなく、民間企業に介入できない」と話し、手が出せない状況だ。
 毎日新聞が運営会社に電話をしても出ることはなく、園内にいるスタッフに声をかけても取材に応じない。
 全国151の動物園や水族館が加盟する公益社団法人日本動物園水族館協会(東京都台東区)は同水族館が閉館した際に、加盟する動物園や水族館に受け入れを呼びかけており、「運営会社からの要請があれば協力する用意はある」としている。【近藤卓資】