たまたま
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シェア自転車の「墓場」、中国全土に広がる 難題は今後のリサイクル
2018年8月26日 17:04 
発信地:東京 [ 中国 中国・台湾 ]

【8月26日 東方新報】シェア自転車の「墓場」が各地に出現し、資源の浪費や環境汚染を懸念する声が広がっている。

 北京市によると、8月初め時点で、シェア自転車の稼働率は50%を割り、半分の自転車が使われず放置されている。武漢市(Wuhan)では8000平方メートルの空き地に、リサイクル処分を待つ2万台近い自転車が放置されていた。四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)では、3000平方メートルの駐車場に、1万台の廃棄自転車が集められていた。

 杭州市(Hangzhou)では、摩拝単車(モバイク、Mobike)の自転車6万台超が回収された。これらの車両は分解の後、再利用される。椅子や鉄鍋、イヤフォンなどに転用されるという。

■市場は飽和状態

 中国工業情報化部管轄の中国信息通信研究院とモバイクのシンクタンクである摩拝政策研究院が共同でまとめた「中国シェア自転車業界発展報告(2018)」によると、17年に中国の200都市に投入されたシェア自転車は計2300万台だった。

 北京市と上海市は、シェア自転車を3年で廃棄するルールを設けており、これらの廃棄自転車は30万トン分の金属になる。

 北京市では現在、シェア自転車を運営する9社が191万台の自転車を稼働させている。ピークだった17年9月の235万台からは2割近く減った。上海自転車協会の郭建栄(Guo Jianrong)秘書長は、「自転車の台数は常住人口50人に1人が適正だ」と語る。その計算で言えば、北京のシェア自転車需要は43万台しかなく、現状が供給過剰であることは疑いようもない。

 江西財経大学(Jiangxi University of Finance and Economics)統計学院の温有棟(Wen Youdong)博士は、「北京には131万台で需要に対応できる」と語る。

 43万台、138万台であろうが、いずれにしても今の状態が飽和していることは間違いない。

■リサイクルの利益薄く

 中国環境科学研究院(Chinese Research Academy of Environmental Sciences)の郭玉文(Guo Yuwen)研究員は「シェア自転車の材料は金属、ゴム、プラスチックなど一般的なもので、買取価格は高くない。そのことが、シェア自転車の『墓場』の整理を難しくしている」と指摘した。 

 シェア自転車の急増で、各地方政府は相次ぎ台数制限を導入した。北京市は17年、シェア自転車の新規投入を一時停止。昆明市(Kunming)は今月から、シェア自転車企業の参入を禁止したほか、既存の企業にも古い自転車の廃棄を求めた。

 17年6月から1年あまりで、中国ではシェア自転車運営企業が少なくとも15社破たんした。小鳴単車(Xiaoming Bike)の破産管理人は、リサイクル業者に自転車の回収を依頼することを決め、1台12元(約194円)の買い取りで合意した。

 車体や部品の95%以上がリサイクル可能だが、材料の回収価格は低く、業界関係者は「分解は複雑だし、運搬費や人件費を考えると、回収事業は割に合わない」と話す。

 交通運輸部などが公表した業界ルールにも、廃棄自転車の回収や、回収を行わない企業の責任についての規定がない。

 20年までに、中国では1000万台のシェア自転車が廃棄される計算だ。

 シェア自転車市場が急拡大したのは16年。つまり、車両の廃棄のピークはこれから迎えることになる。郭研究員は「スクラップには経済性と環境面の両方で、大きな問題がある。今後、シェア自転車の運営は大きな試練を迎えるだろう」と指摘した。(c)東方新報/AFPBB News