浜松市は、耕作放棄地での草刈りに、ヤギの活用を呼びかけている。実験でヤギが雑草をほぼ食べ尽くすなどの効果がみられたため、ヤギを借りたり買ったりする費用を補助する制度を、今年度スタートした。
市民に関心を持ってもらうため、ヤギの生態に関する勉強会も開催している。

市農業振興課によると、耕作放棄地の増加とともに雑草が目立つようになった。除草が不十分だとやぶのようになり、畑を荒らす野生動物のすみかになったり、ゴミの不法投棄を招いたりする。
景観面でもマイナスだ。ただ、高齢者にとって草刈りはきつく、草刈り機や除草剤の購入費も負担になる。
そこで市は、ヤギに雑草を食べさせることを発案。昨年夏、2か所の市民農園の空き区画各約160平方メートルを柵で囲み、ヤギ2〜3頭が9〜10日間、雑草をどれだけ食べるかを検証した。
その結果、一方の農園ではほとんど雑草を食べ尽くし、もう一方でも雑草が明確に減った。費用対効果の試算でも、業者に委託して草刈り機で除草する場合に比べて、急傾斜地では半分以下の費用で済んだ。
平らな場所でも、柵などの設置費用を除けば、人が刈り取る場合と同じ程度の費用で済んだ。

市はヤギの活用を進めるため、市民がヤギの借用や柵などを購入する場合に、費用の一部を補助する制度を4月に始めた。
ヤギの借用では1頭あたり1か月最大6000円、購入では1頭あたり最大5万円、電気柵やネット柵の購入や賃借では最大10万円をそれぞれ補助する。
市によると、ヤギの活用費を自治体が補助する取り組みは全国的にも珍しい。
ただ、ヤギを飼育するには、家畜伝染病を発生させないための知識や、鳴き声や臭いで周辺に迷惑をかけない配慮が必要となる。
市の担当者らがヤギの生態や体調管理の方法を説明する勉強会を今月4日に開催したところ、市民35人が参加。「実際に飼ってみたい」などの問い合わせもあったという。
市農業振興課では「補助制度を知ってもらい、ヤギの放牧による除草を普及させたい。勉強会はそのスタート地点になった」としている。

2018年08月28日 17時58分 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180828-OYT1T50035.html

放牧された農園で雑草を食べるヤギ(浜松市提供)
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