台風20号で根元から倒れた風力発電用の風車(24日、淡路市で、読売ヘリから)=守屋由子撮影
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倒れた風車の根元部分
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風車の構造イメージ
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 台風20号の強風によって北淡震災記念公園(兵庫県淡路市小倉)の風力発電用風車(支柱の高さ37メートル)が倒れた事故を受け、設置者の淡路市が倒壊原因を調査する委員会を設けることがわかった。門康彦市長が28日、「有識者らに参加してもらい、できるだけ早急に原因を究明したい」と明らかにした。国も31日、学識経験者2人を派遣して現地調査を実施。島内には今年1月現在、記念公園を含めて6地域に計25基の風力発電施設があり、再発防止に向けた対策が求められている。

 淡路島は23日夜から24日未明にかけて暴風雨に見舞われ、24日午前6時頃、住民が倒れた風車を発見。支柱が基礎部分との接合部から外れて北側の農地に倒れており、3枚の羽根(長さ22・5メートル)は砕け散って、破片が当たった近くの電柱2本が壊れた。南側にある公園のセミナーハウスが停電したが、人的被害はなかった。

 淡路市によると、風車の重量は101トンで、羽根の長さを含めると高さは最大59・5メートルになる。羽根は風速1・5メートル以上で回転を始めて2・5メートルから発電し、13メートルで最大600キロ・ワットを発電。羽根は1分間に10〜34回転する。強風で羽根が回りすぎて壊れる可能性もあることから、風速25メートルを超えると自動的に運転が止まる仕組み。ただ風車は昨春に落雷の影響で故障し、発電はしていなかった。

 設備は旧北淡町が造り、2002年に稼働。合併で市の所有になり、公園の指定管理者である会社「ほくだん」が維持管理を行っていた。風速60メートルまで耐えられる設計構造だったとされる。しかし、県が設置した風速計の計測で最大瞬間風速は同市岩屋で29・8メートル(23日午後10時35分)、志筑41・2メートル(午後11時20分)、郡家35・8メートル(午後11時25分)で、支柱が根元から倒れた原因は不明だ。

 門市長は「公園のシンボル的存在だったので、壊れたのは残念。設計に問題があったとか、いろいろな風評が出ており、早いうちに委員会を作って原因を究明したい」と説明。今後、市は準備会を開いて学識経験者らメンバーの人選などを行うという。

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 今回の事故を受け、経済産業省は27日付で、全国の風力発電設備設置者に対して3項目にわたる指示文書を出した。台風接近などによる影響が見込まれる場合は安全対策に万全を期し、倒壊した場合に備えた周辺への立ち入り防止措置などを求めている。基礎と支柱の接合部や基礎の構造についても安全性を確認し、稼働10年以上経過した設備は特に慎重に確かめるよう指示している。

 経産省によると、支柱が倒壊する事例は02年と03年の沖縄、07年の青森の計3件あったといい、31日の現地調査では事故状況を調べて速やかに対応する必要があるかどうかを確認する。担当者は「台風シーズンが続くので、急ぎ施設を点検してほしい。国としては淡路市の調査とは別に、学識経験者と現地を調べ、他の施設に対して早急な対策が必要かなどを判断したい」と話した。(清水裕)

読売新聞 2018年08月29日 17時49分
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