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 カンボジアで地雷除去活動に尽力してきたアキ・ラー氏が、武器の不法所持の疑いで警察に逮捕された。ポル・ポト派の元少年兵から社会奉仕活動に転じた人物で、福岡市で5月に講演するなど日本の非政府組織(NGO)との交流も深く、衝撃が広がっている。

 地元メディアの報道などによると、カンボジア北西部シエムレアプにある地雷博物館の倉庫で8月27日、火災が発生した。負傷者はなかったが、警察は倉庫から手投げ弾9個、地雷15個、銃弾などを押収。無届けの武器を所持していたなどとして、館長のアキ・ラー氏ら3人を逮捕した。

 博物館では、アキ・ラー氏が撤去後に安全な処理を施した多数の地雷を展示していたが、警察は閉鎖を命令した。同氏は「(警察に押収された物は)5年前に病死した職員が生前に地雷原から持ち帰り、倉庫に保管していたもの。私はそのことを忘れていた」と関係者に話したという。

 アキ・ラー氏は幼少期にポル・ポト派に両親を殺され、少年兵として地雷を埋設。20歳ごろから地雷除去活動に身を投じ、2007年に地雷の恐ろしさを伝える博物館を開設した。孤児たちも養育し、10年には米CNNテレビが選ぶ世界の英雄10人に名を連ねた。

 20年来の交流がある福岡市のNGO「カンボジア地雷撤去キャンペーン」の大谷賢二理事長は「彼は平和の象徴。自らが埋めた地雷で人々を苦しめた罪を償うため、数万個を除去してきた。早く釈放されることを願っている」と話した。