宇宙の成り立ちの謎に迫る「国際リニアコライダー」と呼ばれる巨大な実験施設を日本に誘致すべきかどうか検討している日本学術会議の委員会は「予算確保の具体的な方策を明らかにすることが課題だ」などとする中間の論点整理を示しました。委員会は早ければことし11月にも最終的な見解をまとめるとしています。

「国際リニアコライダー」は日本と欧米が進める国際プロジェクトで、光とほぼ同じ速さに加速した素粒子を衝突させることで宇宙が誕生した直後の状態を再現する巨大な実験施設です。

東北の北上山地が有力な候補地となっていますが、建設費は本体と測定器で少なくとも7000億円を超えると見られ、政府はまだ誘致するかどうか判断を示していません。

これについて、文部科学省の依頼を受けて先月から誘致について議論を行っている学者などでつくる日本学術会議の委員会は、18日の会合で中間の論点整理を示しました。

それによりますと、国際リニアコライダーのような実験施設の必要性を認めたうえで、日本に誘致するには多額の予算がないと不可能で、予算確保の具体的な方策を早急に明らかにすることが課題だとしました。

さらに費用を各国がどのように分担するか見通し無しに誘致を決定すべきではなく、欧米、そしてアジア諸国も視野に入れて国際協力を考えるべきではないかと提案しました。
また国民への説明と理解も重要だと指摘しています。

日本学術会議の委員会は18日示した論点を中心に議論を継続し、早ければことし11月にも最終的な見解をまとめるとしています。

政府はそれを踏まえて誘致の是非を決めることになっています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180918/k10011634351000.html