台風21号による高潮や強風で、大阪市港区の水族館「海遊館」に海水を運んでいた船「かいゆう2」(296トン)が兵庫県尼崎市の岸壁に乗り上げ、航行できずにいる。

 23日に引き揚げられる予定だが、海遊館では新たな海水の供給が止まり、人工海水の利用を余儀なくされている。

 海遊館によると、「かいゆう2」はふだん、和歌山県沖と同館の間を3日ごとに往復。新鮮な海水を採取し、生き物たちに届けていた。海遊館の前には大阪湾が広がるが、安治(あじ)川の河口部にもあたるため、取水しても塩分濃度が低く、飼育には適さないという。

 神戸海上保安部や海遊館などによると、台風が大阪湾を直撃した今月4日、「かいゆう2」は尼崎港内にいかりを下ろし、エンジンをかけて停泊していた。だが、予想以上の強風で流され、岸壁に船全体が乗り上げて座礁した。乗組員3人は無事で、油の流出や船への浸水はなかった。

 「かいゆう2」は最大350トンの海水を運ぶ能力がある。海遊館は海水の供給停止を受け、淡水に海水と同じミネラル成分を溶かして人工海水を作り、対応してきた。生き物の健康管理に問題はないが、海水を運ぶよりもコストが高くつくという。

 「かいゆう2」は引き揚げ後も船体の点検などが必要で、運航再開日は決まっていない。海遊館は26日から代替船を使い、海水運搬を再開する準備を進めている。

 海遊館の広報担当、村上寛之さんは「通常通り営業しているので、元気な姿を見に来てほしい」と話している。(鷲田智憲)

朝日新聞
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