【ドンガラ(スラウェシ島中部)=一言剛之】9月28日夕にマグニチュード(M)7・5の地震が発生したインドネシア中部スラウェシ島では、1日も軍や警察などによる懸命の救助作業が続いた。震源地近くのドンガラでは、地震と津波の被害で海岸沿いの一面ががれきに覆われ、途方に暮れた住民が座り込んでいた。

 ◆漁船突っ込む

 ドンガラは、通信や交通の復旧が遅れており、被害の全体像が明らかになっていない。1日夕の時点では、多くの建物が全壊・半壊し、港の護岸コンクリートも津波で削り取られていた。

 近くに住む漁業者のハデ・アシさん(58)は「港には100近くの遺体が打ち上げられた」と悲痛な表情で振り返った。

 地震発生時、近くをオートバイで走っていたが、立っていられないほど大きな揺れに襲われた。自分の漁船の乗組員に沖合に逃げるよう指示しているうちに、ひざ下まで海水が押し寄せ、慌てて高台に逃げた。波が引いてから港に戻ると、押し流された漁船が岸壁のあちこちに乗り上げていた。「次に漁に出る時に、足がすくんでしまいそうだ」と話した。

 海岸近くに住むハルミアさん(47)は、地震後に「シャアアッ」という大きな波の音を聞いて慌てて子どもを連れて高台に逃れた。自宅は無事だったが、1軒隣の家屋は津波で流された漁船が突っ込み、全壊した。「恐ろしくて自宅には戻れない」と、現在も高台の避難所でテント暮らしを送っている。親族のシャムスディルさん(45)は「激しい揺れで、電柱につかまって倒れないようにするのがやっとだった」と振り返った。

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2018年10月02日 09時51分
YOMIURI ONLINE
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