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雲仙・普賢岳(長崎県)の噴火災害からの復興のシンボルとして、同県島原市が1997年に
市中心部に設置したモニュメント「平成新山の火」のガス灯にともしてきた火が消え、
別に保管していた種火も失われて再点火できない状況であることが分かった。
終息宣言の翌年に溶岩ドームで採火され、復興を目指す象徴となっていただけに、
市民からは「普賢岳災害の風化」に失望の声が聞かれた。

噴火は90年11月に始まり、96年6月に「終息宣言」が出された。市は97年8月、災害の教訓を伝え、
復興の象徴とするため、旧市庁舎そばの広場に溶岩塊のモニュメントを建立。
中央に設置した風よけのガラスで囲んだランプに溶岩ドーム由来の火を、都市ガスを使ってともし続けてきた。

台風の強風などで消えた際は、旧市庁舎にあった種火保管用ランプの火で再点火していたが、
2017年3月に始まった市庁舎建て替え工事に伴い、種火の保管を取りやめていた。
火は採火時に、被災地の旧深江町(現南島原市)と旧小浜町(現雲仙市)にも分けられたが、
いずれも既になく、溶岩ドームで採火した火をともし続けることは不可能になっているという。

市は台風24号通過後の今月4日に火が消えていることを確認。
「モニュメント建立の思いを生かし、新たな形で火をともせないか検討したい」(市民安全課)と説明しているが、
噴火災害の土石流で家を失った自営業の50代男性は「再点火しても種火からでないと意味がないのではないか」と残念がった。