台風21号の強風で関西空港と対岸を結ぶ連絡橋に衝突したタンカー宝運丸(2591トン)を所有する日之出海運(福岡市)が、来年3月に国内の海運事業から撤退する方針を固めたことが18日、同社への取材で分かった。

清水満雄社長は「事故原因は自然災害だが、多くの人に迷惑を掛けたのは事実。何らかの責任を取る必要があると判断した」と話している。

同社は宝運丸など国内用タンカー2隻を所有。宝運丸は事故で破損し、修復に数億円かかる見通しのため、廃船にする。もう1隻のタンカーは近く売却する。海外向けの海運事業は継続する。

船長と乗組員計11人が乗った宝運丸は9月4日、大阪湾で停泊中に台風21号による強風で流され、連絡橋にぶつかった。

橋桁の撤去や交換など修復工事には数十億円かかる見通し。日之出海運は、関空周辺の「極めて異常な気象」が原因とする「不可抗力による事故」だったとしている。

人工島周辺では過去にも船が流されており、海上保安庁は2011年から台風接近時や警報レベルの強風時には島から原則3マイル(約5.5キロ)離れて停泊するよう推奨していたが、強制力はなく、宝運丸は船長の判断で約2.4キロの地点で停泊していた。海保は業務上過失往来危険容疑で調べている。〔共同〕

2018/10/18 21:15
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36664730Y8A011C1AC8Z00/