庚申尊の体内から出てきた大日如来像(彦根市本町2丁目・宗安寺)
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 滋賀県彦根市本町2丁目の宗安寺で、江戸期の民衆が夜を徹した延命の願いに用いた神像・庚申尊(こうしんそん)の体内から、小さな仏像と法華経の版本が見つかった。竹内眞道住職(64)は「庚申尊の中でも体内に像があるのは珍しい。延命の信仰が大切にされていた証しでは」とみる。

 庚申尊は、青面(しょうめん)金剛童子の別名がある守護神。青い顔をし、武器を持つ。道教の教えで60日に1度の庚申の夜、体内の虫が天帝に罪を報告して寿命を縮めるとの説があるため、人々は像の近くで夜を明かしたという。

 宗安寺の像(高さ1メートル40センチ、横50センチ)は、元文5(1740)年に開眼し、明治期に神仏分離政策のあおりを受けた近くの廃寺から移された。今年に入って修繕に出すと、背部から大日如来像(同10センチ、6センチ)が見つかった。状態から同時期のものとみられる。一緒に入っていた法華経の版本の文末には「天下太平を願う」と手書きされていた。

 神像から仏像が見つかったことについて、竹内住職は「神は仏の化身という当時の本地垂迹(ほんじすいじゃく)の考えを表している」とし、「神仏分離政策の影響で、庚申信仰に関する資料は少なく、貴重な発見」としている。

 同寺の秘仏だが、11月23日に大日如来像とともに7年ぶりに公開する。入場無料。

京都新聞 2018年10月18日 10時08分
https://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20181018000028