盗人たけだけしい。品物を万引きしたコンビニで男性店長にケガを負わせたとして、窃盗と傷害の罪に問われた杉並区の無職、後藤麻梨果被告(34)の裁判が先日、東京地裁であった。

 9月3日夜、葛飾区のファミリーマートで、保湿クリーム(販売価格1350円)を未精算のままトートバッグに入れて店を出たが、店長に見とがめられた。事務所内で口論となった店長の顔面を拳で殴り、下腹部を右ヒザで蹴って、全治1週間のケガを負わせた。「間違いありません」と罪を認めた。

 事務所内の暴行をとらえた防犯カメラ映像も法廷で流された。検察側は「顔に8回拳を突き出し、4回当たった。下腹部を2回ヒザ蹴りした」と暴力性を説明する。

 窃盗と覚醒剤の事件で計5件の前科前歴があり、犯行当時は執行猶予中だった。情緒不安定性人格障害などの精神障害を持っていて「追い詰められると行動を抑制できない」という症状があるものの、「投薬も通院も適当にしていた」「アルコールで強い薬を飲んでしまった」と適切な治療をしていなかった。

 万引きについては、別の低額商品をレジで精算するなど工作活動もしていて責任能力が認められそうだ。傷害事件を起こした理由については“着火剤”が店長の言葉だったと主張する。

 尋ねられた地元を「江戸川区の葛西」と答えると、店長から「不良の集まるところでどうしようもない」「見た感じもどうしようもない」「前にも充電器をとったろ」と言われたという。「私の出自の場所を中傷されたように感じて、一番は見た目のことを言われた」ことで手を出したそうだ。

 検察は「盗んだあなたが悪いのに、なぜ腹を立てるのか」とやりこめ、懲役1年6月を求刑した。店長は「犯人の仲間から連絡が来て怖い」「治療費をもらってないし、示談も成立してない。厳重な処罰を」と訴えている。

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