富裕層などが海外の金融機関に作った口座情報を各国の税務当局が共有する新たな制度で、国税庁が海外の税務当局からおよそ55万件に上る日本人や日本企業などの口座情報を入手したことがわかりました。国税庁は入手した情報を分析し課税逃れがないか調査を進める方針です。

租税回避地=タックスヘイブンなどを使った富裕層の課税逃れに関心が集まる中、国税庁は、世界80余りの国や地域の税務当局と連携し富裕層などが海外の金融機関に作った口座情報を関係国で共有する新たな制度の運用をことし9月から始めました。

国税庁によりますと、この制度で先月末までにおよそ55万件に上る日本人や日本企業などの口座情報が64の国や地域の税務当局から提供されたということです。

内訳はアジア・オセアニアが29万件余りで最も多く、次いでヨーロッパなどがおよそ20万2000件、北アメリカと中南米がおよそ4万2000件などとなっています。

この制度にアメリカは参加していませんが、カリブ海のケイマン諸島やパナマ、シンガポールなどタックスヘイブンとされる国や地域も参加しています。

国税庁がこれまで自主申告などに基づいて把握していた国内の富裕層の海外資産は氷山の一角だという指摘もあり、国税庁は入手した口座情報を分析し、実態把握と課税逃れへの対応を強化する方針です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181103/k10011696781000.html