安倍晋三首相は13日、来日中のペンス米副大統領と首相官邸で会談した。ペンス氏は会談後の共同記者発表で、インド太平洋地域で日米あわせて最大約8兆円のインフラ投資を実施する考えを表明した。会談では、日米物品貿易協定(TAG)の交渉中は米国が日本の自動車に追加関税を発動しない方針を確認した。日本政府関係者が明らかにした。

米中間選挙後に首相がトランプ政権幹部と会うのは初めて。会談後に発表した共同声明では第三国でのインフラ整備で協力する方針を申し合わせ、投資の透明性や債務の持続可能性の原則も盛り込んだ。首相が副大統領と声明を取り交わすのは異例だ。同地域で影響力を強める中国を意識した対応とみられる。

ペンス氏はTAGを念頭に、9月の日米首脳会談で首相が「2国間の貿易協定」の交渉入りに合意したことを歓迎するとし「インド太平洋のモデルにしたい」と語った。「これが完了すればモノのほか、サービスを含む主要分野で新たな条件を設けることになる」と述べ、サービスも貿易交渉の対象との考えを示した。日米間の貿易の現状には「貿易不均衡が長すぎた。あまりにも障壁に直面している」と不満を表明した。

インフラ投資についてはペンス氏が、米政府の600億ドルの投融資枠に加え日本が100億ドルの投融資枠を用意していると言及した。日米合計の支援総額は最大700億ドル(約8兆円)となる。

首相は会談で10月の訪中の結果を説明。記者発表で「日米が中国と建設的な対話をするにあたり緊密な連携を継続することが重要との認識で一致した」と話した。朝鮮半島の完全な非核化に向け国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行が必要との認識で一致した。

ペンス氏は12日から日本などアジア太平洋4カ国を歴訪中だ。シンガポールで開く東アジア首脳会議やパプアニューギニアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する。

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