日本海のスルメイカ漁で道内船の主力を担う道南などの中型船が、日本の排他的経済水域(EEZ)で違法操業する外国船に漁場を追われる異常事態となっている。
外国船は例年より北の北海道西方で操業。

多くが北朝鮮船とみられる木造船で、道内に漂着する例も急増した。
海洋環境の変化などによるスルメイカの資源量減少に、外国船が手痛い追い打ちをかけている格好だ。
漁業者には「国内の水域で、なぜ満足に漁ができないのか」との怒りが広がる。

「函館から1日もかからない距離で漁をする外国船がいるとは…」。
しけを避け函館港に停泊していた第68徳洋丸(石川県漁協所属)の山越敬一船長は10月中旬、奥尻島の西方約100キロの海上で違法操業する北朝鮮国旗を掲げた数隻と遭遇。
第1管区海上保安本部(小樽)に通報した。

中型船4隻を操業する函館の水産会社「天海」の西谷憲夫社長も「北朝鮮船がライン(EEZ)を越え、こちらにどんどん近づいてくる。とても漁ができる状態じゃない」と証言。
北朝鮮籍とみられる船の多くは魚群探知機が未搭載の木造船で、より強い光を放つ日本船の集魚灯を目印にイカの群れに集まるという。

今年は操業能力が高い鉄製とみられる船も目立ち、水産庁は日本の船に「投石された例もあるため近寄らないように」と警告。
西谷社長は「互いの漁網の糸や針が絡まれば事故につながる。その場を離れるしかない」と苦虫をかみつぶす。

北海道いか釣り漁業協会(札幌)によると、道内所属の中型漁船12隻のうち9隻が渡島管内から出漁。
毎年6月から翌年1月にかけ、石川県沖の好漁場「大和堆(たい)」から留萌沖の「武蔵堆」を行き来して操業する。

水産庁が衛星写真で、各国で異なる集魚灯の光量を調べたところ、暗くて北朝鮮籍とみられる船は10月ごろから北海道西方のEEZ周辺海域に密集。
イカを追って大和堆から北上したとみられ、5月からの約半年で退去を警告した船は4839隻と昨年1年間の5191隻に迫る。

日本海のスルメイカの資源量減少は深刻。
函館水産物地方卸売市場の6〜10月末の取扱量は前年同期比3割減まで落ち込んだ。

山越船長は「イカはほとんど(外国船に)とられている。取締船の数が足りず、EEZから追い出してもすぐ侵入されるいたちごっこ。拿捕(だほ)など強い対策を取らなければ、状況は悪化するばかりだ」。
西谷社長は「水産庁や海保の対応も結果につながっていない」と憤る。

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