6年前、千葉市の病院で入院患者の男性に暴行して死亡させたとして、元准看護師が傷害致死の罪に問われた裁判で、2審の東京高等裁判所は暴行罪にあたるとした1審の判決は時効の成立を見逃す誤りがあったとして、裁判を打ち切る「免訴」を言い渡しました。

千葉市中央区にある精神科の「石郷岡病院」の准看護師だった菅原巧被告(65)は平成24年、入院患者の当時33歳の男性に対し、顔面を踏みつけるなど暴行を加えて首の骨を折る大けがをさせ、およそ2年後に死亡させたとして傷害致死の罪に問われました。

1審の千葉地方裁判所は、「暴行はあったが大けがとの因果関係が立証されていない」として、傷害致死ではなく、暴行の罪で罰金30万円を言い渡しました。

21日の2審の判決で、東京高等裁判所の栃木力裁判長は、1審に続いて暴行罪にあたるとしたうえで、犯行から起訴までおよそ3年7か月がたっていて、暴行罪の時効が成立していたと判断しました。

そのうえで「1審が有罪を言い渡したのは誤りだ」として、1審の判決を取り消し、裁判を打ち切る「免訴」を言い渡しました。

また、この裁判では69歳の元准看護師の男性も傷害致死の罪に問われていましたが、東京高裁は暴行があったとは認められないと判断して、1審に続いて無罪を言い渡しました。

判決について、東京高等検察庁は「検察官の主張が認められず、誠に残念だ。判決内容を十分に精査、検討して、適切に対処したい」というコメントを出しました。

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