・上司の許可無く妊娠の女性従業員、中絶か罰則か迫られる(中国)

このほど中国で、信じられない就業規則を設けた銀行が物議を醸している。そこで働く女性従業員が、上司の許可なく妊娠したことで罰則を受けるかさもなくば中絶を迫られたという。『中国新闻网』『中国日报』などが伝えている。

河北省の石家荘市にある地方銀行で、毎年1月になると全女性従業員に対して同年に妊娠するか否かの申請書を提出するという規則を設けている。もし規則に従わずに上司の承認なしで妊娠した場合には罰則を受けねばならず、その内容は減給や降格、左遷などが含まれているようだ。

事態が明らかになったのは、同銀行に勤務する女性から今年10月19日に石家荘市の労働組合連合会の苦情相談窓口に相談があったことがきっかけだった。この女性も許可なく妊娠したことにより、中絶か罰則かを銀行側から迫られたという。

さらには既に何人かの女性が処罰を受けていることもわかった。苦情を受けた労働組合のヤン・ヨンリャン氏(Yang Yongliang)は、「この就業規則は明らかに法律違反です。子供を出産する女性の権利を侵害している」と述べた。

なお中国では、一人っ子政策が廃止されてからはどの家庭でも子供は2人まで設けることができる。しかしこの銀行では、第1子、第2子にかかわらず規則に違反すると罰則が下されるという。ただし中国では2012年に国務院(中国の最高行政機関)が制定した「女性従業員労働保護特別規定」で、「妊娠、出産、授乳を理由に、雇用主が女性労働者の減給や解雇をすることは許されない」と女性の保護を規定している。

また『中国日报』によると、中国の法律では女性従業員は通常98日間の産休を取得することが可能で、その期間中は賃金水準に基づいて産休手当を受ける権利があるとのことだ。

去る10月26日に、女性から相談を受けた労働組合連合会では銀行側と話し合いの場を設けた。そしてこれを機に、銀行側は今までの妊娠に関する規則を廃止した。それとともに今回相談をした女性従業員は処罰を受けなくても済み、また減給罰則を受けた他の女性達も罰則が取り消された。

しかし中国では近年、2人目の子供を欲しがる夫婦が増えるにつれて、学校や企業が女性従業員に対して妊娠計画の報告を要求するところも少なくないようだ。中国のSNS「ウェイボー」には「若い女性従業員が多い会社では運営に支障をきたさないためにも、女性の産休を管理したいと思うのが雇用主の考えだと思う」と人事の仕事をしているという者がコメントをしている。

ちなみに中国の求人サイト『Zhaopin.com』の調査によると、出産した中国女性の33%が減給され、36%が降格されたことがあるという結果が出ている。

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画像は『中国新闻网 2018年11月21日付「单位要求要么流产要么处分 怀孕审批制死在谁手里?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

2018.11.26 19:50  テックインサイト
http://japan.techinsight.jp/2018/11/masumi11241258.html