日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が約50億円の役員報酬を有価証券報告書に記載しなかったとして逮捕された事件で、ゴーン前会長が東京地検特捜部の調べに、前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)に相談して「問題なく適法だと言われた」と供述していることが、関係者への取材でわかった。「違法だとは思わなかった」と容疑を否認しているという。

 ゴーン前会長は側近のケリー前代表取締役と共謀し、2010〜14年度の5年分の報酬が実際は計約100億円あったのに、有価証券報告書に計約50億円と虚偽記載したという金融商品取引法違反の疑いで逮捕された。特捜部は、ゴーン前会長は約20億円の年収のうち約10億円を退任後に受け取る形にして隠していたが、将来の支払いが確定した報酬として、その都度開示義務があるとみている。

 関係者によると、ゴーン前会長は、退任後に報酬を受領する仕組み自体は認めているが、報告書への記載方法は「弁護士であるケリー前代表取締役に相談し、適法だと言われた」と供述。「将来の支払いは確定しておらず、記載義務はない」と違法性を否定しているという。「報酬が高額だ」という批判を避けることが念頭にあったという趣旨の説明もしているとみられる。

 またケリー前代表取締役は調べに対し、「退任後にゴーン前会長にコンサルタント料などを支払うことは検討していたが、役員報酬とは関係ない」などと供述し、容疑を否認しているという。

2018年11月27日13時10分
朝日新聞デジタル
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