揺さぶられっ子症候群について検証を行っている弁護士らの団体が4日会見を開き、「揺さぶられっ子症候群を虐待による症状とする理論は科学的根拠に欠けている」と訴えました。

「あやふやな議論をもとに逮捕、起訴、有罪判決が下る。このような現状に警戒するべきではないか」(甲南大学法学部 笹倉香奈教授)

大阪市内で会見を行ったのは、弁護士や大学教授で構成された団体「SBS検証プロジェクト」です。SBSとも呼ばれている揺さぶられっ子症候群は、生後まもない赤ちゃんを強く揺さぶることで脳内の血管が引きちぎられて血がたまる「硬膜下血腫」、目の網膜が引っ張られて血管が切れることによる「網膜出血」、そして脳の神経が引きちぎられて脳が腫れる「脳浮腫」を指します。この3つの症状が見られると、虐待の可能性が高いとされるのがSBS理論です。しかし今、この理論に疑義を唱える声が出てきていて、刑事裁判でもそれを支持するような判断が下されるケースが出てきています。

先月20日、生後1か月の次男の頭を揺さぶるなどして硬膜下血腫などの傷害を負わせて死亡させた罪に問われていた父親に対して、大阪地裁は無罪を言い渡しました。(検察は控訴)

<裁判長>「落下などによる打撲の可能性も否定できない。揺さぶりによって亡くなったというには合理的な疑いが残る」

検証プロジェクトは4日の会見で「SBS理論は科学的根拠に欠けている」と訴えました。

「海外ではかなりSBS理論についての疑問が呈されている。まだまだ日本ではSBS理論に基づく訴追がされている」(秋田真志弁護士)

揺れ始めたSBS理論。今後の捜査や司法判断に影響が出てきそうです。

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